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インタビュー

品質マネジメントシステム(IATF16949) における取組み(1/2)

林テレンプ株式会社

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Introduction

林テレンプでは1997年から20年以上にわたり、

品質マネジメントシステムの維持に取り組んできました。現在では、品質向上だけでなく社員教育やモチベーション向上にも品質マネジメントシステムを積極活用されています。今回、品質マネジメントを取り入れた経緯や背景、導入後の変化、現在の取り組みについてお伺いしました。

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

林テレンプ株式会社
伊藤 元一氏

常務役員 品質統括

林テレンプ株式会社
伊藤 聡氏

品質保証部 部長

林テレンプ株式会社
鈴木 正憲氏

事業戦略部 組織力向上推進課 課長

林テレンプ株式会社
山下 寛人氏

広報・法務部 広報課 主任

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品質マネジメントシステムを導入された背景と導入後の様子

--まずは、IATF16949の導入背景をお聞かせください。もちろん、いきなり導入されたのではなくて品質マネジメントシステムから導入されたかと思います。

(鈴木)はい。そもそも1997年に、ISO9002の認証を取得したのがはじまりです。 ISO9002の認証取得によって、グローバルレベルの業務品質のプロセスが整えることができるので、海外とのビジネスのやりとりをする際にも有効だと考えました。

(伊藤(聡)) 1997年に弊社のトップが「もう一度基本に立ち返って、社内の仕事を見直していこう」というスローガンを掲げました。そこでまずは、モノづくりの部隊から見直していくこととなり、社内の業務を文書化し、各部署の役割を明確にした上でプロセスに落とし込んでいこうということで、ISO9002を取得する流れになりました。

--正直なところ、組織内の当時の雰囲気はいかがでしたか?

(伊藤(聡))
取得前は「みんなで仕事をしていこう」という雰囲気でしたし、小さい部隊の集まりだったので、「誰が何をするのか」「どの部署が担当するのか」とか、各部門の責任がいまひとつ曖昧な状態でした。そうした組織の問題のバランスをうまくとって「これはあなたが担当です」と、責任の所在を明らかにしながら、みんなをまとめていくのに苦労しましたね。

--品質マネジメント(QMS)を維持し続けてこられて20年以上経ちますが、取得前と取得後では社内の雰囲気に変化はありましたか?

(伊藤(聡))
各自、自分は何をするべきなのかが明確になり、各部署に責任感が生まれるようになりましたね。「ここは自分たちがやるんだ」とという当事者意識が芽生え、モチベーション高く仕事に取り組めるようになりました。

鈴木 正憲氏
伊藤 聡氏

--まずはQMSを導入したことで、社内の意識や責任感に良い変化が生まれたということですね。その後、IATF16949へ切り替えられたタイミングがおありかと思いますが、どのような経緯があったのですか?

(伊藤(聡))
私たちは自動車業界の一員として、お客様のため、会社のために品質マネジメントシステムを維持するという方針のもと、自発的に切り替えました。

(鈴木)
IATF16949へ規格が移行され、構成も大きく変わりましたよね。それをきっかけに実は、私と前任者の山下がIATF16949を社内に浸透させるためのプロジェクトを提案し進めました。

(山下)
IATF16949への移行プロジェクトを鈴木と一緒に取り組む中で大切にしていたことは「規格に合わせにいかないこと」です。「規格に書いてあるからやる」という単純な思考で自分たちの仕事を規格に合わせに行くのはやめようと。「自分たちが必要だと思って取り組んでいけば、結果として必ず規格と適合する」という心構えを持って取り組んでいましたね。

(鈴木)
このプロジェクトを行う前までは、指摘を受けると社内規程に「かさぶた」ができていく状態で。是正処置のための是正を行ってしまい、20年でどんどんその「かさぶた」が増えてしまっていました。とりあえずの対策に走ってしまい、自分達で自分達の首を締めてしまっていたんですね。

こうした状況の中、「指摘を受けたから是正処置をする」のではなく、「根本的に自分たちの仕事を良くしていくための改善をするべきだ」という方向性に変わったのが、ちょうどIATF16949への移行時期になります。



山下 寛人氏

本質的な是正を行うため事務局が活発に動く

--自分たちの仕事を良くするための改善を実行することで、是正処置を行うというスタンスは素晴らしいことだと思います。具体的にはどのように不適合に対するスタンスを変えていったのでしょうか。

(鈴木)
まずは我々社内の推進者として内部監査員だけでなく事務局移行プロジェクトメンバー全員で研修を受けました。その時の学びは細かいところよりも、「規格を自分たちの仕組みに変換しなきゃいけないんだ」という当たり前で本質的なものでした。

また社内には審査をネガティブに捉え、恐れるような雰囲気があったため、審査に対応する私たち事務局が「要求事項を守らないとどうなるのか」という視点で、規格を自社のリスクに落とし込むようにしました。

当時、外部審査を受けて指摘があると、「是正処置をしなければ」とびくびくして対応することがありました。「怯え対策」のような社内の仕組みまで出来上がってしまっていたんです。

そこで本質的な是正を行うために、自社のリスクへと落とし込めるよう、事務局が活発に動きました。

実は、以前、別の認証機関で審査を受けていたのですが、我々の立場を十分理解した審査をしてくれそうだという社内の推薦もあり、DNVに認証審査を変更した経緯があります。 これまでのDNVの審査を通じ、要求事項を守らないとどんなリスクがあるのかを審査員の方からヒントをもらったり、また他社と交流することで、要求事項を守らなかった場合のリスクの相場観を探ったりもしていますね。

そうした中、DNVの審査では「弊社にとってのリスク」を指摘してくれるので、納得して是正を行えています。そのため、他社の審査時に比べると苦労は少ないと感じますね。DNV審査員の方は、規格の不適合をただ指摘するのではなくて、業務内容を把握した上で適切な指摘をしてくれていると感じています。


--継続する事に対する苦労はありますか?

(鈴木)
IATF16949は自動車産業の規格なので、主に保安部品をターゲットにされていると思うんですが、一方で林テレンプの主力製品は「フロアカーペット」をはじめとした意匠部品。そうした自社製品を、IATF16949の要求事項に沿って整えるのは難しいと感じることはあります。

しかし一方で、IATF16949の要求事項を理解するということは「いい仕事の全体像がわかる」ということでもあると思います。全ての要求事項に沿うことができれば、「グローバルに対応できる」ことにつながります。

IATF16949の持っている価値は、企業が品質マネジメントを行う上で価値の高いものだと感じています。年に1度、客観的に業務を審査してくれるという機会を提供してもらえるという点に付加価値があると思いますし、DNV審査員の方は、弊社にとって有難い気づきを提供してくれています。

<下へ続く>

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