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知っておきたい「紛争鉱物」の知識とSEC最終規制への実際の対応

CSRの一環として「紛争鉱物」が注目されている。2010年7月、アメリカでは特定金属の輸出に対 して、米国証券取引委員会(SEC)へ年1回の報告義務をメーカーに課するドッド・フランク法(金 融改革法)が成立し、昨年8月に最終規制が可決された。EICC(電子業界行動規範)においても、 2010年から鉱物紛争に関するプログラムがスタートしている。

こうした世界的な動きのなか、日本 企業はどう対応すべきか。EICC認定の機関として監査を実施するDNVビジネス・アシュアランスジ ャパンの廣瀬敏樹氏(サステナビリティサービスグループCSRシニア・エキスパート/CSRオーソリ ティ)が、セミナーで解説した最終規制の概略や注目ポイントについて、そのエッセンスを紹介する。

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EICCの動きとDNVの監査

まず、紛争鉱物への対応について、アメリカのドッド・フランク法(金融改革法)第1502 条と EICC(電子業界行動規範)の、2つの動きがあることに留意しておきたい。 機関の名前でもあり活動の名前でもあるEICCは、2004 年に設立。電子業界のサプライチェー ンにおける効率的・効果的なCSR を目指している組織及び活動だ。紛争鉱物の話題があがる前か ら、4つのトピックス「労働」「安全衛生」「環境保全」「倫理」に関するマネジメントシステムが サプライチェーンの中で有効に機能するよう活動してきた。

2009 年2月には「紛争の財源となる鉱物の採掘及び輸送活動は許容できない」との声明を出し、 調査を開始。その結果、「EICC 加盟メーカーは、より良い社会と環境を創り上げるために、直接取 引先だけでなく、鉱物の採掘問題も含めた広大なサプライチェーンにまで、その影響力を拡大し、 問題を解決すること」を決定した。 そしてドッド・フランク法が成立した2010 年に、EICC も紛争と無関係の精錬所プログラム (CFS)を立ち上げた。CFS の特徴は、調査票はもちろん、精錬所に出向いて紛争鉱物の使用を現 地の監査によって検証する形で、2012 年8 月のSEC 最終規則が確立するまでEICC の先行した取り組みであった。

さらに、2012 年4 月にはEICC の行動規範が改訂され、「倫理」のセクションに紛争鉱物問題の 記載が追加された。したがってEICC に加盟しているメーカーやそのサプライヤーは、紛争鉱物の 議題がSEC 規則の適用如何にかかわらず課せられるようになったわけである。法律が適用される企業は、米国上場会社(SEC 登録企業)で、米国でアニュアルレポートを提出している会社や外国企業でも、米国で上場していれば対象となる。ただ、SEC への報告義務はなくても、サプライチェーンにある企業も紛争鉱物の調査要請を受ける可能性が高い。例えば、米国で上場していないが日本から米国の企業に部品を納入 している、あるいは日本企業に海外子会社があり、そこから直接米国の子会社もしくは親会社に納入している、といったケースも影響を受ける。ただ、すべてのサプライチェーンに求められるかというとそうではなく、依頼元の企業がどの程度当該取引について重要と考えているかに左右される。

様式SDと紛争鉱物報告書

SEC 最終規則では、3 つのステップを示している【図表】。ステップ2 と3 では「様式SD (Specialized Disclosure Report)」が求められる。 報告対象期間は暦年で、提出期限は毎年5月31日。 ステップ3 では、様式SD の付属書類として「紛 争鉱物報告書」も必要で、これには監査報告書が含まれる。ただ詳細調査の結果、「紛争鉱物が DRC 諸国産かどうか」などいくつかの項目が判 定不能の場合は、その旨を記載することで外部監 査は不要とされている。

もう1つの特例として「サプライチェーン対象 外」がある。対象期間は暦年だが、適用初年度に ついては1 月31 日より前に金以外の鉱物が精錬 され、金の場合であれば完全に精製され、また精 錬・精製されていない紛争鉱物・派生物がDSR 諸国外に存在するのであれば、もともとすでに武 装勢力に資金提供する段階にはないので除外する こととなる。すなわち、裏を返せば調査対象は、 2013 年1 月31 日にDSR 諸国内で精錬・精製さ れずに存在する紛争鉱物、もしくはその後に採掘 される紛争鉱物ということである。 以下、ステップごとに解説する。

図1 3つのSTEPS

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