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[インタビュー]

業界初、ASI認証を取得した株式会社大紀アルミニウム工業所の取り組み
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株式会社大紀アルミニウム工業所

大紀アルミニウム工業所
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Introduction

アルミニウム二次合金メーカーとして業界初のASI認証取得

アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ(ASI)は、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティへの取り組み向上や、ESGへの貢献を目的とする非営利の標準化および認証機関です。同時に国際的な認証スキームでもあり、持続可能性や透明性を高める「パフォーマンス基準(PS)」と、流通過程における持続可能な管理としての「流通過程基準(CoC)」の2つの基準があります。

2024年10月に業界で初めて認証取得したのが、大阪府に本社を置く大紀アルミニウム工業所です。同社はアルミニウム二次加工品製造を主軸に、世界11か国、25拠点においてアルミリサイクルフローの川上から川下までをカバーする事業を展開しています。認証取得の背景や道のり、活動における学びなどについてうかがいました。[2/2]

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

小畑田 竜也氏
株式会社大紀アルミニウム工業所
小畑田 竜也氏

常務執行役員

生産統括室長 兼 リスク管理室長 兼
鉄鋼副原料室長

髙橋 優氏
株式会社大紀アルミニウム工業所
髙橋 優氏

滋賀工場長

谷﨑 秀宣氏
株式会社大紀アルミニウム工業所
谷﨑 英宣氏

リスク管理室 課長 兼 生産統括室 課長

佐々木 謙太氏
株式会社大紀アルミニウム工業所
佐々木 謙太氏

リスク管理室

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時間を要した「人権」への取り組み

[DNV]
――GHGや水の循環など重点テーマについて、実際どう取組んでいるのか教えてください。


(谷﨑さん)
原料溶解で使用する燃料、排気ガスの無害化設備などの稼働に必要な電力など、工場で使用するエネルギーは優先的に削減を進めています。優先度の高いエネルギーは、中期経営計画のGHG排出削減においても目標を掲げて取組んでいます。アルミ溶解などで発生する排ガスは、性質に対応した専用の設備を用いて無害化していますし、製造工程で発生するドロス(廃棄物)は、その中に含まれているアルミを回収し、できない分は販売して昇温材などに再利用されています。

(小畑田さん)
水の循環については、アルミニウム二次加工品の場合、アルミを溶解して型に入れて冷却する際に水を使いますが、数十年前から循環利用していてそれほど大量に使用することはありません。


[DNV]
――中でも特に難しかったこと、大変だったテーマについて教えてください


(谷﨑さん)
時間を要したのは人権です。これは従来のISOの要求事項にはないもので、それまで人権に関しては社内規定なども整備していませんでした。当社にはサステナビリティ委員会があるので、その下部組織の一つに人権デュー・ディリジェンスの分科会を用意し、新しく人権方針をつくり、関連する社内規定も整備しました。調達方針も資材管理部とともに新しくつくりました。人権方針をつくったきっかけはASIの認証取得ですが、「ASIのためだけに」つくったものではなく、会社の基本方針のひとつとして機能しています。

佐々木 謙太氏

ASI認証取得は自社の宝
しんどかったが取り組んでよかった

[DNV]
――活動を通じてどんな手応えや成果を感じていますか?


(小畑田さん)
組織としてレベルアップしたと思います。きっかけがないと、例えば人権など、時間を要することに手をつけようとはなかなかしないものです。認証取得はしんどかったですが、やってよかったと痛感しています。

(髙橋さん)
ASIは今まで自分たちが「これでよし」と思っていたことが、「まだ足りてない部分が多々ある」ということを知ることができる活動です。この活動がきっかけになって見直しができたことが大きなメリットだと思います。もちろん工場では随時見直しをしていますが、見直しの範囲が広がり、現場の人たちの考え方や捉え方も変わりました。滋賀工場ではISOも取っていますがISOと違う点が多々ありますので、その意味でも広い視野で見ていけるようになったと思っています。

(小畑田さん)
我々のメイン顧客である大手自動車メーカーからは当社のESGの取り組みに関する問い合わせを多くいただきます。ただ、営業部門の窓口はこうした問い合わせには慣れていません。そのため回答はリスク管理室で一元化していましたが、営業サイド向けに作成したQ&Aを基に営業が回答を作成、リスク管理室が点検して営業に戻す、ということを行っています。自分たちのお客さまは何をどう考えているのか、それにどう答えるかといったことを知ることで、よりよい対応ができます。

(佐々木さん)
営業部門から回ってきた情報は一度集計して、他の部署にも回せるように私が主担当になり整えているところです。

(谷﨑さん)
会社としてバラバラに回答するのではなく一貫性のある回答が大事なので、そこはリスク管理室で調整しています。問い合わせに回答するにあたっても、ASIの取り組みの裏付けがあるので、自信をもって回答できる内容になっています。

(小畑田さん)
こうしたことはASIに直接関係することではありませんが、このように全体の仕事に絡んでくることがあります。魅力ある企業として対外的にアピールできるだけでなく、社内的にも一段レベルアップしたと感じています。それはこの取り組みをしたからこそで、当社の財産になっています。

ASIの普及浸透に期待
代替わりしてもしっかり継続していきたい



[DNV]
――一方、課題と感じていることにはどんなことがありますか? 併せて今後に向けての思いをお話ください。


(谷﨑さん)
現時点では、ASI認証を受けている企業は非常に少ない状況です。その中で我々の取り組みが、人権など「ある側面」でしか見てもらえていないと感じています。そこから脱して、ISOと同じように「ASI認証を取得している企業なら大丈夫」と信頼が広がっていけばと期待しています。我々素材メーカーは、お客さまに信頼され継続的にお取引をいただくことが大事なので、ASIがそのよりどころになればと思っています。

(髙橋さん)
工場に来客があると、会社説明の際にASI認証も取得しているとPRしていますが、「ASIって何ですか?」と聞かれることが多く、まだ普及浸透していないと感じます。ASIは滋賀工場にとってもプラスになることなので、お客さまへの認知を高めていきたいと思っています。



[DNV]
――今後、滋賀工場をモデルに他にも広げていこうというお考えはあるのでしょうか?


(小畑田さん)
正直、簡単にできるものではないので今の時点では未定ですが、考えていきたいとは思います。課題と感じているのがサプライヤーに関してです。ある程度の規模の卸業者さんにはサプライチェックをしてもらっていますが、末端の個人事業者までを管理するのは正直現実的ではありません。そこを今後どう考えていくかが課題の一つです。

(谷﨑さん)
もう一つは、担当メンバーが替わった時にしっかり引き継げる体勢作りです。「仕組みだけが残って中身がない」となってしまうことが一番危ないので、そうならないようにしっかり取組んでいきたいです。

(佐々木さん)
何もないところからの開拓というのが、一番難易度が高いと感じています。元々道ができているところは歩くのは楽な一方、「初めて」の取り組みはそうでないところを歩くことが多いですが、認証を通じて学んだことを生かして取り組んでいきたいと思います。



[DNV]
――最後にこれから認証取得を考えていらっしゃる組織へのメッセージをお願いします。


(谷﨑さん)
ESG活動の原動力の一つのきっかけになったと感じています。自社のさらなる発展につながると実感しているので、ぜひチャレンジしてみてください。

主任監査員柳下より一言

大紀アルミニウム工業所さんは、ASI認証取得活動を進められる素養が元々あったのだなと感じます。認証取得活動でよく課題になるのが、コーポレートと現場のギャップです。お互いに別々の苦労があると思いますが、そのギャップが埋まらないまま我慢しているパターンが多い中、大紀アルミニウム工業所さんはそれを感じませんでした。レアケースで、とても印象に残っている会社の一つです。なぜそうなっているのか不思議でしたが、お話をうかがい、「現場主義」というDNAが息づいているのだなと腑に落ちました。

大紀アルミニウム工業所 データ
https://www.daiki-al.co.jp/

大紀アルミニウム工業所に関する各種データを記載しています (corporate webサイトから引用)

1922年
創業
国内海外
世界11か国 / 25拠点
国内5工場
滋賀工場でASI取得
2024年
ASI認証取得
DNVサステナビリティサービス

DNVのASIサービス

DNV は、ノルウェー・オスロに本拠地を置く第三者認証機関、オイル&ガスセクターにおけるリスクマネジメント、船級協会、風力/電力送配電分野のエキスパートを主とするサービスプロバイダーとしてグローバルで活動しています。

DNVは、ASI(アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ)の認定認証機関として、パフォーマンス基準(PS)および流通過程基準(CoC)の審査サービスを提供しています。

Aluminium Stewardship Initiative (ASI) Certification

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