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[座談会]

ミズノのカーボンフットプリント算定における実務面での取り組み
~シューズのライフサイクルCO₂排出の見える化~ -上-

ミズノ株式会社

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Introduction

ミズノでは1990年前半から地球環境保全のための

活動を開始しCO₂の排出量削減や、廃棄物の削減、リサイクルに取り組んできました。ミズノ全社の環境方針に沿った活動をしながら、サステナビリティをマーケティング活動に織り込むことの重要性に注目し、カーボンフットプリントの算定に取り組んでいます。今回この取り組みについてお伺いしました。[1/2]

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

ミズノ株式会社
柴田智香 様

グローバル人事総務部 サステナビリティ推進担当

ミズノ株式会社
土屋亮二 様

グローバル・コーポレート&マーケティング室 グローバルマーケティング課

Mizuno Vietnam Company LTD.
猪原裕 様

Footwear Division D&S Manager

DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
田邊康一郎

サステナビリティサービス統括部
サステナビリティサービスグループ
技術・事業開発統括マネジャー

-1-

カーボンフットプリント算定に取り組まれた背景

柴田智香さん



--DNV田邊
本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。今回はミズノ様のカーボンフットプリント取り組みをお聞きする機会をいただきましたので、大阪本社にお邪魔させていただいております。柴田様、土屋様に加えて、猪原様は赴任先のベトナムからオンラインでご参加をいただきありがとうございます。

まずは今回、ランニングシューズのカーボンフットプリント算定に取り組まれた背景について教えていただけますでしょうか。
(柴田さん)
ミズノでは1991年から地球環境保全のための活動を開始していますので、30年以上に渡ってCO₂の排出量削減や、廃棄物の削減、リサイクルに取り組んできたことになります。また全社の環境目標としての「2050年カーボンニュートラル実現」と、「2030年までにScope3排出を50%削減する(2018年比・製品あたり)」という社内KPIを設定しておりますので、今回のカーボンフットプリント算定はこのようなミズノ全社の方針に沿った活動となっています。

(土屋さん)
従来から、特に欧米市場に展開しているミズノの海外販社では、サステナビリティをマーケティング活動に織り込むことへの重要性に注目してきましたので、今回はより透明性を高めグローバル統一のマーケティングにも展開したい、というコンセプトで本格的にカーボンフットプリントの算定に取り組むことにしました。

(柴田さん)
実は2018年に、シューズのカーボンフットプリント算定に初めて取り組んだのですが、その時は現状把握の目的で実施しました。それ以前はミズノ独自色の強い方法での試行錯誤しながらの活動でしたので、分析の結果を踏まえ、より理解を深めることができました。今回はあらためてCFP*1算定に取り組むにあたって、マーケティング活動と連携させるためにも、お客様に納得してもらえるような国際的にも認められた方法でやりたいよね、というのが社内検討チームの一致した意見でした。

ミズノサステナビリティ イメージビジュアル

(土屋さん)
海外販社からの話を聞いていると、他社ブランドも環境取り組みを強化していることは感じていましたし、お取引先からもミズノの環境取り組みや貢献活動をアピールして欲しいという声が多かったんです。これはその先にいるお客様の声があるということですよね。そんな期待に応えるために、ミズノがCO₂排出削減にどのように貢献しているかを製品に紐づけて見える化しなければなりませんでした。定性的な情報では取引先にはなかなか納得してもらえず、環境パフォーマンスを透明性のある数字で示すことが必要だったんです。

(猪原さん)
2018年にシューズのCFPに取り組んだ時は、どの製造工程で排出量が多いかの見える化まではできましたが、その後も市場のトレンドはさらにエコフレンドリーな方向に進んでいることを感じていました。社内でも意識して環境配慮素材を使うようにしてきましたし、昔から付き合いのある原材料サプライヤーさんもそのニーズに合った材料を提供してくれるようになり、環境も整ってきました。シューズ産業の関係者全体が環境志向に変化してきたんだと思います。

土屋亮二さん

CFP算定体制を整えるにあたっての工夫

猪原裕さん

--DNV田邊
そういったエコ材料を使用した時に、あらためてCFPを算定してどのぐらいCO₂削減に貢献できたのか確認したかったということですね。社内のCFP算定体制を整えるにあたって何か工夫したことはありましたでしょうか?



(柴田さん)
ミズノではシューズ・アパレル・用具というプロダクト別に部門が分かれていますので、それぞれに代表的なアイテムでのCFP算定を実施しています。今回のCFP算定ではシューズ部門としての連携や役割分担がうまくいったと思っています。やはり前回(2018年)の取り組み経験があったからだと思います。

(猪原さん)
ミズノのシューズ生産委託先の多くはベトナムなのですが、実際は台湾系企業が多いんです。ミズノは昔から台湾にも拠点を置き、サプライヤーさんとの信頼関係を築いてきました。そういう取引先から材料関連のデータを比較的入手し易い関係にあったことは自社の強みと思いますし、CFP算定がスムーズに進んだ要因の一つであったと思います。


--DNV田邊
実際に算定取り組みをスタートした時に、障壁になったことはありましたか?



(猪原さん)
データを手探りで収集・分析しなければならなかった点が挙げられますね。社内にはエコ情報をシステムに自動的に格納したり分析したりする仕組みがありませんので、エクセルシートから個別に情報を入手するような感じではありました。新しいエコ材料を使えるという話を耳にしても、その環境データや従来品との違いなどは自分達で調べなければならず、公開されたデータベースがない場合も多かったです。結果的に外部の技術専門家からのサポートも得ながら自社内で換算係数を検討したりもしました。

一方で、CFP算定の中で、「電力や熱を多く使う製造工程ではCO₂排出が多い」ということを再確認することで、そのような工程をどうしたら省略できるかとか、リサイクル材料を何%使うべきかなどの環境配慮設計を意識することにもつながっています。

※1 CFP(カーボンフットプリント)

CFP(カーボンフットプリント)とは、 Carbon Footprint of a Productの略称で、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算する仕組みである。LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を活用し、環境負荷を定量的に算定する。
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