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[座談会]

ミズノのカーボンフットプリント算定における実務面での取り組み
~シューズのライフサイクルCO₂排出の見える化~ -下- -下-

ミズノ株式会社

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Introduction

ミズノでは1990年前半から地球環境保全のための

活動を開始しCO₂の排出量削減や、廃棄物の削減、リサイクルに取り組んできました。ミズノ全社の環境方針に沿った活動をしながら、サステナビリティをマーケティング活動に織り込むことの重要性に注目し、カーボンフットプリントの算定に取り組んでいます。今回この取り組みについてお伺いしました。[2/2]

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

ミズノ株式会社
柴田智香 様

グローバル人事総務部 サステナビリティ推進担当

ミズノ株式会社
土屋亮二 様

グローバル・コーポレート&マーケティング室 グローバルマーケティング課

Mizuno Vietnam Company LTD.
猪原裕 様

Footwear Division D&S Manager

DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
田邊康一郎

サステナビリティサービス統括部
サステナビリティサービスグループ
技術・事業開発統括マネジャー

-2-

クレジット購入ではなく植林活動への寄付を選定

DNV田邊

--DNV田邊 商品開発に活かせているというのは大きなポイントですね。その一方で、環境配慮設計に取り組んでもCO₂排出をゼロにまで削減することは難しいわけですが、ミズノ様では今回、最終手段としての植林による森林吸収を活用されていますね。この背景も教えていただけますでしょうか。

(土屋さん)
CFP算定と削減取り組みの中で、極限までCO₂排出を減らし、かつランニングシューズとしての機能性は損なわない、むしろ向上させるという新たなフラッグシップ商品(=WAVE NEO COLLECTION)を開発するという話が社内で持ち上がり、消費者にもアピールできる形でCO₂排出量をオフセットできないかという検討が進みました。

排出権クレジットの活用も考慮しましたが、最終的に植林活動への寄付を選んだポイントは、やはり一般消費者に共感していただけるという期待です。一般的にはコーズマーケティング(Cause Marketing)と呼ばれますが、特定の商品の購入が環境保護や社会貢献に結びつくことを消費者にアピールすることで、商品の販売促進・ブランディング・企業価値のイメージアップを狙う手法のことです。


--DNV田邊
なるほど。第三者機関としてはオフセットする場合はその目的ごとに留意すべき点があると考えますが、ユーザーの共感を得るためには、クレジットを安易に購入するのではなく植林活動への寄付を選定されたという点に、ミズノ様のポリシーを感じ取ることができます。


(土屋さん)
以前から米国販社が独自に現地の植林活動団体への寄付に取り組んでいたので、今回は本社がリードし、グローバル全体で取り組むことにしました。米国での植林による吸収量をグローバルで展開するシューズに割り当てることになるため、吸収量の正確な算定結果やそのエビデンスの情報提供を受けられるかのすり合わせから始まりましたが、以前から取引があったこともあり話は早かったですね。

(猪原さん)
CO₂という目に見えないものを減らしていることを伝えるためには、目に見える植林活動は消費者にもイメージし易いですよね。実感が湧いてくるし、植林管理する側と一緒に取り組んでいる思いも伝えられる。ユーザーにミズノの取り組みを積極的に見せていくことで、新たなコミュニケーションも生まれると思います。

--DNV田邊
今回初めてCFP検証を受けていただきましたが、ざっくばらんに感想を頂けたらと思います。


(柴田さん)
国内でもあまり実例のない中で、英語の資料なども参考にしながらゼロからCFP報告書をまとめることになりましたので、それだけでも正直言ってかなり大変でしたが、検証のインタビューの時に入力データの根拠を求められたりシナリオの考え方の妥当性など想定していなかったことを聞かれて面食ったのを記憶しています(笑)。

(猪原さん)
CFPの算定結果は、その目的を考えると過小評価でも過大評価でもいけないし、正確な数値であることを消費者を含めた第三者に示していくためには、根拠となるエビデンスやその保管体制も考えておかなければならない。透明性が高く、情報開示される側にとって保守的であるべきことなどは気づきになりました。

商品ライフサイクルから排出されるCO2を 初めてオフセットするランニングシューズ 「WAVE NEO COLLECTION」の 「WAVE NEO WIND」 




--DNV田邊
最後に、今後の展開について教えて下さい。


(土屋さん)
グローバルではランニングシューズは主力カテゴリーですので他の上位機種への環境配慮コンセプトの展開拡大はもちろんのこと、今後はそれ以外のカジュアル系やウォーキングシューズなどの他カテゴリーにも横展開していきたいです。ただし、機能性のハードルを下げることは考えておらず、商品への環境配慮設計の展開はパフォーマンスを損なわないことが大前提になります。そこはミズノの考え方として固持していきたいです。

(柴田さん)
機能性のあるシューズなので、その点と環境配慮を両立させたことをしっかりとアピールしたいです。国内にも海外にも訴求したいし、フラッグシップモデルをこれからも世の中に出していきたいですね。

(猪原さん)
ものづくりの中でどれだけ環境負荷を低減できるのか。自社だけでは限界がある一方で、靴づくりには多くの部材が必要で、また多くの人が関わっています。ものづくりのあり方、サプライヤーさんも巻き込んだ環境負荷低減の取り組みを、ベトナムの生産地に赴任しながら考えているところです。

(土屋さん)
ミズノを好きでいてくださっているファンと一緒に取り組んでいきたいですね。今回の商品ローンチに対して世界各国の市場から様々な反応がありましたが、我々は日本の企業として、これからもそれぞれの市場に適したコミュニケーション方法をいろいろと調整しながら、環境配慮商品への認知を広げていきたいですね。


--DNV田邊
本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。

DNVサステナビリティサービス

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DNV は、ノルウェー・オスロに本拠地を置く第三者認証機関、オイル&ガスセクターにおけるリスクマネジメント、船級協会、風力/電力送配電分野のエキスパートを主とするサービスプロバイダーとしてグローバルで活動しています。

自社のCO2低排出/節水製品を訴求したいというニーズに対して、DNVは製品のライフサイクル全体でのGHG排出量/水消費量の検証サービスを提供します。GHG排出量及び水消費量の算定及び検証には、該当する国際基準(カーボンフットプリント:ISO14067:2018)が活用されます。

[ミズノ株式会社:ニュースリリース] ランニングシューズ「WAVE NEO COLLECTION」発売(2023/09/15)

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