地球温暖化の問題が迫ってきているいま、私たちはこの問題にどう向き合うべきか。未来に向かって私たちにできること、企業として果たすべき責任や役割は何か。本シリーズでは「低炭素化社会」に向けた企業の取組みをレポートする。第3回となる今回は、安心・信頼される産業廃棄物処理サービスを通じてお客様の利益に貢献する(株)リヴァックスの活動を紹介する。(1/2)
液体と容器に分別して滅却処理しリサイクルするシステム。
リヴァックスは兵庫県西宮市鳴尾浜において、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の収集運搬、中間処理や総合リサイクル事業を行っている。同社の処理設備は、日本国内だけでなく海外からも見学者が多く、注目の設備なのだが、その最大の特徴は他社にない高いリサイクル技術にある。特に液体飲料の入った食品廃棄物を、液体と容器に分別して処理できる独自のシステムは高く評価されている。1974年設立のリヴァックスも創業以来、食品関係の取引きが多く、飲料系の処理業務に対応する中で、顧客に対応する形で技術力を高めていった。飲料の中の液体と容器に分けて一環処理し、さらにそれをバイオマス燃料として循環させるシステムは他社の追随を許さず、国内でも屈指の処理能力を誇っている。こうした未開封飲料のリサイクル処理サービス分野での実績を評価されて、第6回エコプロダクツ大賞の審査委員長特別賞(奨励賞)を受賞している。
本格的にリサイクルに取り組むきっかけとなったのは、ダイオキシン報道だったと社長の赤澤健一氏は言う。「99年に廃棄物処理施設から大量のダイオキシンが発生しているというテレビ報道により、廃棄物処理に対して厳しく規制されるようになりました。われわれも創業以来ずっと適正な方法で処理することをテーマとしていましたが、厳しい制限を受けたことによって、単に廃棄物をゴミとして処理するのではなく、新たな資源としてリサイクルしていくという方向性が、そこで明確となりました」。
有機性の産業廃棄物からカーボンニュートラルな循環型燃料を製造し、代替燃料として市場に提供する同社の方針がここで固まったのである。
赤澤健一氏(代表取締役社長)
廃棄物処理事業について赤澤氏は「人間の身体でたとえるなら動脈と静脈のように無くてはならないもの」と捉えている。
「ものづくりの過程で、あるいは豊かな生活を支えるものとして、処理事業はなくてはならないものです。廃棄物のようにどうしても仕方なくゴミとして出てきてしまうものに対して、単に不要なものとして焼却するのではなく、リサイクルさせて循環させるという現在の社会的ニーズにも十分に対応していかなければなりません。動脈と静脈がバランス良く働くために、われわれの事業の存在価値があります。そして、私たち自身が、処理コスト以外の環境対応など社会的なニーズに対応できる組織であることも重要です」。
そうした環境対応型の顧客ニーズに対応できる組織にするための手段の一つとして、ISOなど第三者機関の審査が必要なマネジメントシステムを導入したという。営業マンが顧客から「これからはISOの認証がないところとは取引きできなくなるかもしれない」という話を聞いたのをきっかけにスタート。最初にトップ自らが勉強会に参加していち早く内部審査員の資格を取得。その後、キックオフから取得までにわずか9 ヶ月という短期間で2000年9月にはISO14001を、2008年にOHSAS18001との統合認証を取得した。
「当時から評価が高かった外資系審査機関にしたかったので、DNVを選択しました。他社に聞くと『外資系だとハードルが高くて大変だよ』と言われましたが、せっかく取得するのなら、よりハードルの高いところの信頼できる認証ブランドを取りたかった。取得コストではなく効果を考えての選択でした」と当時を振り返る。
それにしても、当時はISOの知識ゼロからわずか8 - 9 ヵ月でのスピード取得である。ISO事務局は2名で、1人は兼務していたため専任はわずか1名。少ない人数でも確実に進められたのは社内チームワークの良さとトップダウンにあったようだ。
「短い期間で大変でしたが、逆にダラダラ長い時間をかけてやると取得へ向けた熱が冷めてしまうと思いました。意外だったのは最初、社内で真っ先に『やろう』と言ったのが営業部門でしたが、やり始めて最も抵抗が大きかったのも営業だったということ。ISO取得活動で見えてくるいろいろなことがあります」赤澤社長は言う。