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「資源循環型社会」に向けたリサイクル事業のリーディングカンパニーの挑戦

地球温暖化の問題が迫ってきているいま、私たちはこの問題にどう向き合うべきか。未来に向かって私たちにできること、企業として果たすべき責任や役割は何か。本シリーズでは「低炭素化社会」に向けた企業の取組みをレポートする。第3回となる今回は、安心・信頼される産業廃棄物処理サービスを通じてお客様の利益に貢献する(株)リヴァックスの活動を紹介する。(2/2)

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高いISOの効果

ウェブカメラで処理状況を公開。遠隔地からもリアルタイムで処理状況を確認できる。(破砕機はパスワード限定公開)

取得後、組織内で大きく変化したのは「言わずもがな、の風潮が無くなったこと」と赤澤社長。「暗黙の了解や経験によるカンに頼った作業が一掃されました。作業が標準化できて、最低限のことが必ず守られるようになり、さらに目標に向かって上へ行くような組織のレベルアップが図れたと思います」。マネジメントシステムとして求められた項目について話し合ううちに、全体の意識も高まった。組織上の運営の問題は関係者間で協議をして、問題があるときちんと顕在化できるシステムに変わっていったのも赤澤社長には嬉しい効果だったという。

「一つの目標をもって課題に対して挑戦し続けることで、組織に力がつきます。それが積み重なって、組織の持久力につながっていくと思います。また、EMSだけでなくOHSASという安全の視点が入ってきたことで、より効果が高まった」という。

さらにスパイラルアップを目指す

乾燥システム。汚泥、動植物性残さ、分離後の飲料液体
を乾燥させ、バイオマス資源としてリサイクル

今後はISOをさらにブラッシュアップしながら組織力の強化を目指しているという。「審査は年々、厳しくなってきています。クリアしなければならない条件が増えて、ハードルも高くなっている。実際『そんなことまで求められて、うちレベルでどうなんだろうなぁ』と思う場面もありますが、信頼できる審査員がここまでできると考えた上での発言ですから、全く無理で無謀なものではないわけです。で、やってみたら案外ちゃんとできたりする。できない場合でも、コミュニケーションができているかどうかで、審査が良くも悪くもなる。われわれにとっては、審査はとても刺激になります」(赤澤氏)。

できないことを背伸びしてやるのではなく、できることをやりながら成長し、決してスパイラルダウンさせないという赤澤社長の姿勢はISO活用事例として他社のお手本になりそうだ。
今後は特に廃棄物処理量など企業のマイナー情報を取り扱うため、Pマークの取得なども検討中だという。

ダブル受賞した環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞

環境分野に関しては特にCO2削減を積極的に展開する予定。すでに燃料をガスに切り替えており、企業活動におけるエネルギーの削減だけでなく、ビジネスそのものが省エネになるモデルを模索したい考えだ。「お客様の廃棄物を処理した後にそれをエネルギーとして資源に転換させ、社会全体でのCO2削減を目指しています」(同)。こうした環境への取り組みに関する実績の一つとして、環境報告書賞とサステナビリティ報告書賞をリヴァックスグループ2社でダブル受賞している。

「わたしたちは廃棄物処理業者として、社会や地域住民に対する説明責任は重大だと考えています。施設の存在を理解していただくためにきちんと情報提供しなければなりません。その大きな手法の一つとして、こうした報告書を作成しています。狙ったわけではありませんが、サステナビリティ報告書賞をいただくことができました」(赤澤氏)。

ISO14001とISO18001の統合マネジメントシステムを認証取得

さらに社会貢献活動の一環として、小中学生を集めた工場見学を積極的に受け入れている他、農業のイベントに参加している。同社が食品廃棄物を取り扱っている関係から、農業に対する知識を高めようとNPO法人が運営する甲山農業塾の田植えイベントなどに社員で参加しているもので、社員の家族や取引先などを招待して毎年好評だ。農作業を通じて自然の大切さを学び、環境問題に対して社員が自ら体験しながらその必要性を認識できる機会となっている。農業体験はまだ今年で3年目だが、今後も続けていくという。

「ある同業他社の社長のご子息がうちの工場見学会に参加したそうで、『すごかったよ、お父さんの会社とは全然違うねえ、と息子から言われちゃいました』とおっしゃっていました。こうした子供達が大人になって、環境問題に真剣に取り組んでくれたら良いなぁと楽しみです」(同)と、未来への布石も盤石なのである。今後も低炭素社会を目指した同社の取り組みから目が離せない。

新しい価値を生み出すCSR

CSRを取り巻く社会的状況

グローバリゼーションやITの進展に伴い、企業はステークホルダー(利害関係者)に与える影響をこれまで以上に考慮し、法令遵守、消費者保護、環境保護、労働、人権擁護、地域貢献など倫理性、社会性(環境への配慮、地域貢献など)を経営活動にいかに反映させるかということがポイントとなってきています。

これは一般的にはCSR(企業の社会的責任)と呼ばれますが、この概念は年々、それが包括する範囲を広げています。古くは狭義の慈善活動(≒ボランティア)という位置付けであったものが、より広く「社会からの期待に対応できる能力」として捉えられるようになり、国際的にも主流な考え方となっています。

新しいCSRの位置付けと情報開示の重要性

かつては「お金を支払う(費用・支出)」という概念だったCSRが、価値を創り出す、すなわち「お金を稼ぐ」ための有用な道具へと変貌を遂げる、新たな段階に突入したということができるでしょう。

義務から道具へと移行するための乗り換え切符の一例として、情報の透明化により企業の説明責任を果たす取り組みが挙げられます。リヴァックス社が環境報告書やサスティナビリティ報告書を充実させ、様々な受賞をされていることは、その意味で非常に素晴らしい活動ということができます。

第三者検証の意義

欧米においては、さらに一歩進み、開示する情報を第三者にチェックしてもらう、すなわち報告書の第三者検証を行っている企業が多数あります。企業が開示する情報は、様々なステークホルダーによって「決定のための判断基準」として用いられます(例えば株主による株の売買、近隣住民の当該企業への就職など)。

しかし、報告書には、誤記入や誤計算、さらには企業にとって不都合な情報が意図的に公開されていない可能性があります。これらはステークホルダーからすれば大きなリスクとなり得ます。そこで有効となるものが、報告書の第三者検証です。専門家による網羅的な検証を通じて、検証チームは報告書の情報に対して保証(Assurance)を付与します。これにより、ステークホルダーは安心して、開示された情報を用いることができるというわけです。

国際的なガイドライン

CSRに関して現在では、企業をサポートする様々な国際的ガイドラインが存在します。2002年から広く世界で用いられているGRIガイドラインをはじめとして、今年の後半にはISO26000も予定されています。これは規格ではないため認証取得の対象とはなりませんが、これからのCSRが義務ではなく、企業が主体的に高めるべき能力であるという点を考慮すると、ある程度幅のあるガイドラインの下、個々の企業の特色を出していくことが、本来的な姿ではないでしょうか。

ISOもCSR

日本においては、CSRと聞くといまだに「何か新しい特別なこと」と構える傾向があります。しかし、既存のISO活動もCSR活動の一環に他なりません。自社が社会からの期待に応えているかを総合的に評価した上で企業価値の向上に努めることが、これからの社会で生き残るために重要だと考えられます。

株式会社リヴァックス

http://www.revacs.com/

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