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[インタビュー]

戦略的データセンター改革―プロセスマネジメントの改善と標準化
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三菱総研DCS 株式会社

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Introduction

ISO では、27001、9001 の認証取得に引き続き、

昨年千葉情報センターにおいて、監視サービスを対象に、ISO/IEC20000 を取得。今後は、千葉情報センター全体の業務においての認証取得の準備も開始する予定だ。ITサービスマネジメントのシステムの効率化を進め、クライアントと共に企業そして社員一人ひとり共に成長する「Co-Grow」カンパニーを目指すDCS。DNVが認証機関となったISO/IEC20000 の対象となった千葉情報センターを訪れた。[1/2]

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

三菱総研DCS株式会社
神崎 亮一 氏

千葉情報センター所長

三菱総研DCS株式会社
黒瀬 貴史 氏

千葉情報センター所属

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戦略的データセンター改革――プロセスマネジメントの改善と標準化

三菱総研DCS( 以下:DCS) は、株式会社三菱総合研究所(MRI)および株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)と、資本・業務両面での戦略的提携から4 年、「生まれ変わろうDCS」を合言葉に、「さらに一段と質の高い仕事を」を重要テーマとした取組みの一環としてISMS(※1)、QMS、CMMI(※2)など様々な規格、認証取得に取り組んできた。ISO では、27001、9001 の認証取得に引き続き、昨年千葉情報センターにおいて、監視サービスを対象に、ISO/IEC20000 を取得。

今後は、千葉情報センター全体の業務においての認証取得の準備も開始する予定だ。IT サービスマネジメントのシステムの効率化を進め、クライアントと共に企業そして社員一人ひとり共に成長する「Co-Grow」カンパニーを目指すDCS。 DNV が認証機関となったISO/IEC20000 の対象となった千葉情報センターを訪れた。

事業拡大を見据え、全ての業務の認証取得を――まずは監視サービスから



千葉情報センターの開設は、今から12 年前にさかのぼる。社会情勢に加え、都内にあった西葛西センターが手狭になってきたこともあって設立が計画された。 主にデリバリー処理を行う「市ヶ谷センター」に対し、千葉情報センターが受け持つ業務は、「コマンドセンター」としての役割を担っている。その業務の中には、運用サービスを始め、ハウジングコロケーションなどのファシリティサービス、障害対応サービス、

そして監視サービスがあり、今回は監視サービスを対象にISO/IEC20000 の認証取得が実現した。DCS はすでに、情報セキュリティ分野においては、2002 年にISMS パイロット事業 の認証取得から着手し、2007 年にはISO/IEC27001 を取得。品質管理分野において は2005 年にISO9001 を取得している。また開発部門においては、2008 年にCMMI レベル3 を達成、そのマネジメントノウハウには実績も経験も豊富にある。 そのDCS が今なぜ、ISO/IEC20000 の取得に取り組みを始めたのか。

千葉情報セン ター所長の神崎氏は、 「グローバルな視点からサービス全体を考える必要性があった」として、次のように語る。「今後の千葉情報センターにおける事業 拡大にあたり、品質管理、情報セキュリティ、両方のマネジメントプロセスの改善にも有効な手段として、ISO/IEC20000 が適当ではないかと考え、取得に踏み切りました」


現場との対話が大切――啓蒙活動を積極的に進めた



認証取得への取組みは、2007年12月から開始。品質向上推進部と協業で「ISO/IEC20000 認証取得プロジェクト」を立ち上げ、事務局(専任3 名)を組成した。 ISO9001 を取得した経験を活かし、品川の本社でまずプロセス文書を作成することから始めた。ISO9001 の担当者から文書作成の方法などのヒアリングを行い、わずか3 ヶ月でプロセス構築を実現した。しかし、実際現場での運用を開始するにつれ、並々ならぬ障壁もそこに存在していることに気付いた。

導入当初の現場の様子を、担当であった黒瀬氏はこう語る。「プロセスの構築はできたのですが、それを現場の人たちに理解してもらうことが想像以上に大変でした。我々は、必要性やメリットを理解し、良くなると確信した上で取り組んでいますが、現場にとっては今までよりも仕事量が増えることへの反発や、理解不足などからくる温度差があり、そのギャップを埋めていくのが大きな障壁となりました。自発性を重んじ、積極的にルールを守ってもらいながら現場に定着させることの難しさを痛感しました」しかし、それはあるアドバイスから徐々に変化し始めたという。

「我々は、認証をとるためにどうすればいいかとか、ルールを守らせるとか、ルールを作るという動きが先行していて現場の気持ちを理解できていなかったんですね。現場を巻き込んで、現場の人が理解し、納得しないと何も始まらない。自分達が楽になるため、品質を良くするための必要な作業なんだということを分かってもらうことが先決です。

ですから自発的な行動を促すような啓蒙活動をまず積極的に進めるようにしたのです」そして始まったのが「社内に啓蒙を促すポスターを貼る」「毎朝一人ひとりに品質やサービスに関する自分の思いをスピーチさせる」「いつでもITSMS などに関する学習ができるよう社内に書籍などを並べる」などの地道な啓蒙活動だったのだという。

「事務局だけが頑張って現場がついてこれないという状態に陥っていました。当たり前のことですが、よく話し合うことがとても大切だと感じました。予備審査の結果を受けて、現場の人も含めみんなで話し合い、情報を共有することにしました。たったそれだけの事なのですが、そこに一体感が醸成され、みんなで頑張って乗り切ろうという雰囲気が自然に生まれてきたのです」こうして、全員の気持ちが認証取得という同じベクトルへ向かい始めた。



三菱総研DCS株式会社

銀行のコンピュータ受託計算部門から分離独立した歴史を持つ三菱総研DCS は、豊富な実績とノウハウに裏付けられた技術力と積極的なセキュリティ対策への取り組みにより高い信頼性を持ち、ITコンサルテーションからシステムの設計・開発、そして運用・処理に至るITトータルソリューションを行う。 2004 年12月より、株式会社三菱総合研究所(MRI)、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との戦略的業務提携をスタート。2006 年3 月より、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社を加えた4 社連携のネットワークを生かしたベストソリューションを提供する。

※1 ISMS

企業などの組織が情報を適切に管理し、機密を守るための包括的な枠組み。 機密性、完全性、可用性の側面から情報を守ることができる。

※2 CMMI

米カーネギーメーロン大学のソフトウェア工学研究所(SEI)により統計情報として収集したケーススタディに基づいてまとめられた、製品とサービスの開発のためのプロセス成熟度モデル。1-5まで5段階に分かれる。レベル3は組織のプロセスが絶えず改善されているというレベル。

※3 PDCA

IT 関連サービスの提供者が、サービスの内容や品質を利用者に保 証する取り決めをいう。
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