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「スマート・ドライブ宣言」で輸送の安全確保に取り組む

社団法人岐阜県トラック協会青年部の新たな挑戦

国内工場の海外移転による輸送量の減少、環境に負荷を与えないためのCO2の排出量削減など、近年の物流業界にはさまざまな課題があるが、なかでももっとも基本的で大切なのが、「輸送の安全確保」である。災害や事故などによって物流が滞ることにより、社会が受ける影響は大きく、「輸送の安全確保」は運輸事業者にとって当然の使命だ。だが事故はなくならず、安全確保は非常に大きな命題でもある。それに対して、我が国はもちろん、世界を挙げてさまざまな取組みがなされるなか、岐阜県トラック協会青年部がより実効性のある新たな活動、「スマート・ドライブ宣言」に取り組み始めている。

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「個人目標の設定」が従業員一人ひとりの安全意識を高める

今回評価を得たのは、岐阜県トラック協会青年部に所属する松井急便、恵武急便、山本急行、ユニオン物流、鎌田物流サービスの5社である。2013年5月から、毎月あるいは隔月に一度のペースで参加企業が集まり、勉強しながら内容を詰めていった。

 「現場の意識を高めるためにはGマーク以上の実効性ある活動が必要」。そう語るのは、「物流を通じて地域に貢献」を企業理念に掲げ、介護タクシー事業にも取り組む松井急便の松井義行社長である。
「Gマークは2年更新だが、なかなか普段見直すことはなく、より高いレベルで継続性のある活動をしたかった。ISOは継続性があるが、僕らのような小さい企業ではハードルが高い。その点、スマート・ドライブ宣言は、その2つの中間的な存在で、ちょうど良い仕組み」と、今回の活動に参加した背景を語る。 松井社長の言う「現場の意識を高める」ことが期待されるのは、「個人目標の設定」が要素としてあるからだ。

鎌田物流サービスの鎌田大将総務部長も「社員一人ひとりが取組みを認知できた」と、個人目標の存在を評価する。同社のモットーは「義理と人情」。「IT化社会とはいえ、モノは人から人へ。荷物とともに思いを届ける」という同社は、従業員に対しても心配りを欠かさず、今回の活動も「全員で取り組めた」と、鎌田部長は満足そうだ。  とはいえ、この「個人目標の設定」はGマークにはなく、書くことが不慣れなドライバーもいたりと、各社とも苦労した点でもある。 「当初は“交通事故ゼロ”など、ごく簡単なことになってしまい、内容を具体的に書いてもらうのが難しかった。各人の仕事の流れの中で危険個所はどこか、一緒に確認していくなどして詰めていった」と、恵武急便の山田有恒取締役は、ドライバーへの教育に力を入れた様子を語る。

前述の鎌田物流サービスでは、個人目標について個人ファイルを作り、各トラックに常備させて意識を喚起している。「安全運転で燃費○%アップ」など達成度が計れる数値設定にしており、それがクリアできたらさらに少し高い目標を設定する予定だ。

機械による管理から仕組みによる安全確保へ

もちろん、各社ではこれまでも「安全輸送の確保」に対応してきており、5社ともGマークは認証済みだ。 主に食品輸送を担う山本急行の山本英史社長は「これまでもアルコール検知器やデジタルタコグラフなど、先進的機器を使いながら安全確保に努めてきた」と、今までの取組みを説明する。

同社では、デジタルタコグラフから得られるデータを基に、安全輸送の管理・指導を徹底。さらに事故時の映像が記録できるよう、ドライブレコーダーも装備し、パソコンと連動させ、日時・速度・加速度のグラフ表示など詳細情報を表示することで、事故の原因を明らかにすることが可能な体制を整えている。 「機械は揃ってきたので、これからはPDCAサイクルにのっとった活動など仕組みも充実させ、ドライバーの安全意識の向上を始め、従業員の育成を進めていきたい」と今後を語る。
「スマート・ドライブ宣言に取組む企業が増えるよう、私たちが引っ張っていきたい」と意欲的なのは、ユニオン物流の嶋倉紀行社長だ。「1年後の監査で確実に成果を出し、『どうして事故が減ったのか?』と聞かれたら、自分たちの取組みを自信を持って伝えたい。そうなれば、業界の底上げにもつながるはず」と、業界全体にこの宣言が広がることを期待する。

恵武急便の山田取締役も「同業他社の反応が楽しみ。今後、切磋琢磨しながら広めていきたい」と話す。「運送会社の使命として事故ゼロが絶対条件」という同社では、事故撲滅には20年前から積極的に取り組んできた。今回の認証でより一層、従業員の意識が喚起されるに違いない。

業界のイメージアップでドライバー不足の解決にも期待

認証取得5社の皆様(松井急便、恵武急便、山本急行、ユニオン物流、鎌田物流サービス)

岐阜県トラック協会には、現在約800社が加盟する。うち青年部に含まれるのは、経営者が50歳未満の40社だ。
「800社すべてで取り組むと大規模になりすぎてしまうので、まずはパイロット的に青年部の中から参加してもらった」
と、同協会の業務部、高橋正樹係長。同協会はもともと外部講師を招いてのセミナー開催などに熱心で、安全に限らず労務管理や業務知識などさまざまなテーマで研修を積極的に行っている。

特に青年部はメンバー企業で勉強会を企画するなど、活動は活発だ。今回の取組みでも、「最初はよくわからなかった」(松井社長)が、勉強会を重ね、知見を獲得していった。その熱心さが結果にも結びついたといえよう。 今後は、青年部の企業はもちろん、岐阜県にも広げたいとの希望があるのはもちろんだが、「中途半端な気持ちではなく、志の高い企業とともに進めたい」というのが共通認識のようだ。

5社はベンチマーク的な存在といえ、他社に対しても「スマート・ドライブ宣言」への取り組みを推奨する。松井社長は、「取り組んだほうがいいとは思うが、ある程度時間もかかるし、管理する人材も必要。規模にもよるが、まずはGマークを取得してからさらに高みを目指すというように、順を追っていけば無理なくできるのでは」とアドバイスする。 5社の取組みは「業界のイメージアップとなり、ドライバー不足の解決にもつながる」(鎌田物流サービス・鎌田部長)との期待もある。安全の確保はもちろん、それ以上の課題をも解決する可能性を秘めているのだ。その実現のためにも、5社の新たな挑戦は、これからが正念場だと言えるだろう。

関連情報:道路交通安全 ISO39001

プロジェクトマネージャ永木規善氏

こういった認証は、通常はISO39001というマネジメントシステムがあり、それを 2年くらいかけて受けるものですが、今回はいきなりそれを目指すことではなく、 簡略化された仕組みとして取得を目指していただきました。現場には戸惑いもあったと推察されますが、 大きな決意を持って見事に達成されたことは大変素晴らしいことだと思います。継続的に取り組むことで きっと効果が現れる仕組みとなることと思います。

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