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「スマート・ドライブ宣言」で輸送の安全確保に取り組む

社団法人岐阜県トラック協会青年部の新たな挑戦

国内工場の海外移転による輸送量の減少、環境に負荷を与えないためのCO2の排出量削減など、近年の物流業界にはさまざまな課題があるが、なかでももっとも基本的で大切なのが、「輸送の安全確保」である。災害や事故などによって物流が滞ることにより、社会が受ける影響は大きく、「輸送の安全確保」は運輸事業者にとって当然の使命だ。だが事故はなくならず、安全確保は非常に大きな命題でもある。それに対して、我が国はもちろん、世界を挙げてさまざまな取組みがなされるなか、岐阜県トラック協会青年部がより実効性のある新たな活動、「スマート・ドライブ宣言」に取り組み始めている。

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全世界で交通事故による死者数は毎年130万人

事業用トラックが第一当事者となる死亡事故件数は増加傾向

国内では2005年にヒューマンエラーが原因だと考えられる事故が続出、そのため翌年、国土交通省による「運輸安全マネジメント制度」が導入された。これは、経営者から現場までが一体となって安全管理体制を構築・改善して輸送の安全性の向上を目指すもので、ISO9001の考え方をベースにしている。対象は鉄道、自動車、海運、航空の4分野で、すべての運輸事業者は義務事項として運輸安全マネジメントの目標を策定することとなっている。
一方、世界保健機構(WHO)の統計では、交通事故による死者数は全世界で毎年130万人以上、負傷者数は2,000~5,000万人以上とされ、交通事故による損失は、各国においてGNPの1~3%に相当すると報告されている。そのため交通事故を防ぐべく、国連では2010年3月に「道路交通安全10カ年行動計画」が決議され、翌年5月から交通事故撲滅に向けた国際的な計画がスタート。計画には「道路交通マネジメント」など5つの柱があり、この時点でISO39001(道路交通安全マネジメントシステム)についても触れられており、2012年10月にISO39001が発行された。

実はこうした取組み以前に、2003年7月から社団法人全日本トラック協会では、一定の安全基準をクリアした事業所を認定する「貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク)」を実施している。評価・認定し公表することで、荷主企業や一般消費者など利用者がより安全性の高い業者を選びやすくすることを目的とし、2014年3月末現在、安全性優良事業所は、全国の事業所の23%に相当する19,238事業所となっている。

このように「輸送の安全確保」に向けては、国内外でさまざまな取組みが行われている。運輸安全マネジメントを例にすると、安全管理体制が構築され、事故件数が減少するなど効果がみえてきているが、一方で事業規模などの違いによっては、安全管理に対する取組み状況に差が出てきていたり、活動がマンネリ化していたりする。比較的容易に取り組めるGマークも、安全性の評価として有益ではあるが、安全管理の継続的な活動としては物足りなさもある。ISOに至ってはハードルが高そうだと二の足を踏んでしまう事業者も少なくない。

そこで登場したのが、「スマート・ドライブ宣言」だ。

5つのことを徹底的に実行する「スマート・ドライブ宣言」

「スマート・ドライブ宣言」ステッカー

「スマート・ドライブ宣言」は、「Gマークを超えた取り組みをしたいが、ISO9001やISO39001ではハードルが高すぎる。“ちょうどいい”取り組みができないか」という中小運輸事業者の思いをかなえるべく登場したといえ、具体的には、運輸事業者(トラック運送業者)が次の5つに徹底的に取り組むことを基本としている。



1.経営トップの徹底的な安全に対する覚悟を公表する(特に、荷主企業、元請企業に対して)
2.交通事故の再発防止、予防処置を徹底的に行う
3.目標管理から個人目標展開
4.マナ宣(マナー良い運転の宣言)
5.社内監査の実施



 第一に、「経営トップの徹底的な安全に対する覚悟を公表する」。すべては、トップの姿勢や考え方によって決まってくるからだ。経営者が確固たる覚悟と責任をもって「安全が最優先される」という姿勢を示し、全従業員にその思いを伝え、組織として「違反を許さない」風土を構築することが大切で、具体的には「方針の策定」が挙げられる。朝礼など点呼の場を活用して全従業員に周知し、従業員が暗記できるくらい徹底できるのも大事だが、経営者の思いをどれだけ理解しているかがより重要である。
 「方針」を従業員に理解させることができたら、この「方針」と、「スマート・ドライブ宣言」に取り組むことを、荷主企業と元請企業など関係者に文書で通知し、覚悟を表明する。あくまで自主的な取組みで、取引先には負荷が生じないものであることを示し、また「事故を減らす」という覚悟を取引先にコミットすることで、社内の活動がより引き締まる。

2つ目は「交通事故の再発防止、予防処置を徹底的に行う」。事故を起こした場合、誠意をもって謝罪するのは当然だが、加えて事故原因を追究し、その原因を取り除くいわゆる是正処置(再発防止処置)を完璧に行うことが大事になってくる。一方で、ヒヤリ・ハット情報に基づき予防処置を徹底することも必要だ。 ISOの良さを活かしたのが、3つ目の「個人目標の展開」だ。トラック業者は運輸安全マネジメントの義務事項として目標を策定し運用しているはずだが、現実には個人(ドライバー)にとっては「自分には無関係」となってしまいがちで、実効性が伴っていないケースもある。実のあるものにするには、小さくてもいいので個人目標を設定し、一人ひとりに安全を意識させることが要となる。

 また運輸安全マネジメントは、ヒューマンエラーを防止するために策定されたものであるが、ヒューマンエラーについては、マナーさえ守れていれば防止できるものもある。そこで4つ目に挙げたのが、「マナ宣」で、これによりドライバーの自覚を促す。 5つ目の「社内監査」では、「決めたことが実施できているのか」「実施できていることはPDCAで回っているか」など、社内の内部監員が監査を行う。 上記の内容を評価し、基準をクリアしたトラック業者に「評価証明書」を発行するというのが、「スマート・ドライブ宣言」の一連の流れだ。評価は1年に1回のサイクルで、それを行うのがDNV GLの役割である。

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