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野村ビルマネジメント

ISO/IEC20000を改革ツールとして有効活用-中編-

野村ビルマネジメントの認証取得事例 中編

昨年の東日本大震災を契機に、企業の事業計画の見直しや情報の保護など危機管理への意識は高まってきている。特に顧客のサーバを預かり、データ通信の保守・運用サービスなどを提供するデータセンターにおいては、いかなるときでも安定稼動することが求められている。

そうした中で、安全性・信頼性の向上を追及できるツールとして注目されているのが、ITサービスマネジメントに関する国際規格ISO/IEC 20000だ。IT企業のデータセンターなどでの取得が大半を占める中、野村ビルマネジメントがビルマネジメント業界で初めて、この規格の認証を取得。組織改革に活かしている同社の取組みを紹介する。 前編はこちら

これまでの自分たちのやり方を否定

野村ビルマネジメントの場合、「提供するサー ビスの中で事故を起こさないようにしたい」とい う目的が明確にあった。それを実現するためには どうしたらいいか。これまでの手法では事故が起 こる可能性があり、「今のこのルールで、この手 順でやっていてはいけないのだ」との気づきを得、 これまでの仕事のやり方やスタイルを変えた。  例えば、何かを変更する際には徹底的に検証す るようになった。これまではA をB に変更する時、 「B にするから」と所長の一言や経験のある人の 判断で決まっていたのだが、なぜ変更しなくては ならないのか、変更することが有効なのか、その 結果どんな手順にすればいいかなどをきちんと検 証してから変更するようになった。もちろん、記 録も残す。

 後藤氏は「ゼロからのスタートだと気づいた」 という。仕組みを構築する過程で、これまでして きたことについて「これはおかしい」「これはい らない」と多くを棄却し、つくり直す「改革」が 行われたのである。

 とはいえ、現場にとってはこれまで正しいと思っ てしてきたことや実績を否定されたことになる。 そうした人への意識改革が大きな課題となった。  プロジェクトメンバーは「まず聞いてほしい。 そしてやってみてほしい」と、合意できるまで徹 底的に話し合うことにした。すると、「こうすれ ばいいんだ」と変わってきたという。「いかに“こ のシステムを使ってみよう”という気にさせるかが大事。“当事者意識”や“やる意味を考えること” の必要性を働きかけた。このルールは何のために 運用するのか、どういう意味で書かれているのか を考え、自分なりのイメージをつくって、それを ぶつけ合って話をしないと深まらない」と小久保 氏は意識改革のコツを話す。  プロジェクトチームメンバーや現場の管理者た ちは、追い込まれたりしながらも、形ができてい くという実感を確認しながら進めた。そうした過 程で「やればできる」という意識が生まれてきた。

「イメージが湧かない」を乗り越え て成果を得る

取得するまでの壁の1 つが「ISO/IEC 20000 の イメージが湧かない」ということだった。これに ついては、当初からのプロジェクトメンバーで、 元々データセンター事業部に在籍していた結城氏 も同じだった。結城氏は自部署の顧客である野村 総合研究所が同規格の取得活動をしていた頃、「か なり力を入れていたので、大変な規格なのだろう とは感じていた」と振り返る。「今回自分たちが 取得することになり、本当に大変だと実感した」 と話す。規格をどう業界に当てはめていくかに頭 を悩ませた。例えば「変更管理」。

 「変更内容を、軽微、通常、重大というように ランク付けすることが必要で、パソコンであれば、 “リセットすれば直る変更が軽微”というように イメージできたが、ビル管理業界では何が当ては まるか悩んだ」(結城氏)。結局、「お客様に影響 が生じるものは重大」「お客様に影響与えないけ れど当社に影響出そうなものは通常」「お客にも 当社にも影響がないものは軽微」とした。書籍を 読んだりコンサルタントに教えてもらったりしな がら、自分なりに勉強を続けたという。こうしたことを乗り越えて認証取得を果たした 今、組織は着実にステップアップしている。例え ば、担当者会議のほか、各部門と後藤氏が交流す る「推進責任者会議」、社長と各部門長が集まる 「トップマネジメント定例会議」など、横の連携 が強まるような会議が増え、情報の共有化が進ん だ。結城氏は「会議を通じて各活動が見えるよう になり、他部門とのコミュニケーションも活発に なった。以前より横串が通っていると感じる」と いう。

 「マネジメントとは何か、根本的なことを学ん だ」と話すのは倉田氏だ。  実は倉田氏は、このプロジェクトが始まる前ま では、品質管理部内にあったISO 推進課長として、 ISO9001 及びISO14001 の事務局の役割を担って いた。その立場から「お客様と合意が必要で、顧 客目線の規格」とISO/IEC 20000 を評価し、「こ れから社内を変えていきたい」と意欲的だ。  途中からプロジェクトメンバーとして加わった 溝上久吉氏(ISO 監理運用推進室主幹)は、ISO 構築の経験はなかったが、「これから一人ひとり に“気づき”が出てくると、会社全体のレベルが 上がっていくのでは」と期待する。

 増強メンバーとしてプロジェクトに加わった中 には今年度の新入社員の大福博紀氏(ISO 監理運 用推進室)も含まれた。当初は他部署に配属され ていたものの、「いろいろなタイプの人をメンバー に組み込みたく、若い人に経験してもらいたかっ た。この業務に関わることで、業務スキルがアッ プしこれからの会社人生の中で有効になるだろう との思いもあった」と後藤氏は新人を加えた意図 を説明する。その狙い通り、大福氏は「会議を開 く手順やわかりやすく説明するためのポイントな ど、業務の基本を学んだと実感している」とスキル向上につながっている様子を話す。新人ながら 構築ステップを知る大福氏は、同社におけるISO/ IEC 20000 の基本的な考え方や活かし方を今後に つなげる重要な役割を担うとして期待されよう。  このほかにも、マネージャーとしての意識強化 やドキュメント作成技術の向上、顧客とのコミュ ニケーションの促進といった成果が見えてきてい る。「つくったものを落とし込んでいったのでは なく、全員でつくったからこそ、有効に機能して いる」と後藤氏は言う。

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野村ビルマネジメント概要

機能性、快適性、安全性を重視したトータルビルマネジメント会社- 「ビルを、いつも価値あるものに」という企業理念の下、機能性、快適性、安全性をテーマとしたトータルビルマネジメントを展開。省エネ法が2010 年に施行される以前より、ビルマネジメントを通して環境対策に積極的に取り組んでいる。また不動産業界では珍しく「ビルメンテナンス」と「プロパティマネジメント」、「設備改修工事」、「インテリア(内装)」を1 社で行い、技術力や提案力に磨きをかけている。データセンターは約30 年の実績がある。  

設立:1977年4月1日 資本金:1 億円 代表取締役社長:井上辰夫  事業内容: ビルマネジメント事業、 建築インテリア事業、プロパティマネジメント事業、 不動産取引業

「顧客目線のこの規格を活かしていきたい」意欲的な倉田洋一郎氏

ISO監理運用推進室主幹

「キーマンが腑に落ちることが大事」 と語る 結城英明氏

ISO監理運用推進室主幹

「気づきによって会社としてのレベル アップにつながる」と期待する 溝上久吉氏

ISO監理運用推進室主幹

「自信のスキルアップにもなってい る」とプロジェクトに関わった感想 を語る 大福博紀氏

ISO監理運用室



ISO20000とは?

ISO20000とは、ITサービスを有効的に運用するために、英政府機関が先進企業のシステム管理の取り組みをガイドラインとしてまとめた『ITIL』を基に拡張したものです。2005年11月に国際規格ISO20000として発行されました。サービスの品質を遵守することを宣言したSLAを顧客と合意し、リスク対応を計画的に行い運用していきます。システム運用だけではなく、顧客とのサービスレベルの合意や、システムの予算管理など、他部署との関係も含めた幅広い内容を規定しています。