トップページ > 野村ビルマネジメント(1/2)

野村ビルマネジメント

ISO/IEC20000を改革ツールとして有効活用-前編-

野村ビルマネジメントの認証取得事例 前編

昨年の東日本大震災を契機に、企業の事業計画の見直しや情報の保護など危機管理への意識は高まってきている。特に顧客のサーバを預かり、データ通信の保守・運用サービスなどを提供するデータセンターにおいては、いかなるときでも安定稼動することが求められている。

そうした中で、安全性・信頼性の向上を追及できるツールとして注目されているのが、ITサービスマネジメントに関する国際規格ISO/IEC 20000だ。IT企業のデータセンターなどでの取得が大半を占める中、野村ビルマネジメントがビルマネジメント業界で初めて、この規格の認証を取得。組織改革に活かしている同社の取組みを紹介する。

安定稼動を支えるための管理品質の向上が急務に

野村ビルマネジメントがISO/IEC 20000 の認証取得を目指したのは、東日本大震災がきっかけだった。同社は多様な建物を管理しているが、中でも情報インフラを支えるデータセンターが停止 してしまったら、各社の事業活動自体が停止しかねない。データセンターの重要性を再認識し、安定稼動を支えるための管理品質の向上が急務となった。また顧客である野村総合研究所がすでにこの規格を取得し、有効性を実感していたため取得を勧められたという背景もあった。

 上席執行役員の後藤謙三氏(データセンター・横浜管理事業本部長 ISO 監理運用推進室担当) は、取得の狙いと意義をこう説明する。
 「IT サービスの一端を担うものとして顧客と同じレベルを保とうと、今回は認証取得範囲を特化し て取得した。しかし、これでおさまる気はない。というのも、ISO/IEC 20000 には、対象とするIT ばかりでなく、組織運用や顧客サービス提供にあたり非常に有効な考え方が含まれているからだ」
 後藤氏が指摘するように、ISO/IEC 20000 はシステム運用だけではなく、顧客とのサービスレベルの合意や、システムの予算管理など他部署との関係も含めた幅広い内容を規定している。したがって、組織全体に活用することで、企業体とし てのレベルアップが図られるわけだ。

現場 の負担減と意識の浸透のため プロジェクトメンバーを増強

キックオフは2011 年4 月26 日。「ISO20000 認 証取得プロジェクト」が発足し、翌年3 月末まで に認証取得という目標を掲げた。対象となったの は、データセンター事業一部、データセンター技 術部、品質管理部の3 部署の計約90 人。スター ト時のプロジェクトは後藤氏が管理責任者とな り、事務局メンバーとして小久保俊昭氏(ISO 監 理運用推進室室長)、倉田洋一郎氏(ISO 監理運 用推進室主幹)、結城英明氏(ISO 監理運用推進 室主幹)の3 人で進められた。

 一方、対象となる現場では3 部門の各部長が推 進責任者となり、次席に相当する人が推進責任者 代行、そして担当者という体制で進めた。プロジェ クトメンバーはキーとなる彼らに、まず、この規 格を取得する目的や意義をきちんと理解してもら い、各部署内への浸透を図ろうとした。ところが、 これがなかなかスムーズにはいかなかった。  もともと「兼任で行えるようなプロジェクトで はない」(後藤氏)との認識のもと、3 人は専任 で取り組んでいたが、進めるにつれ手が足りない と判断、約2 カ月経ったころ、さらに3 人をメン バーとして追加した。

 「このままでは次のステップに進むのは難し いと感じた」と話す小久保氏は、その理由とし て、現場が通常業務を抱えていること、ISO/IEC 20000 に対してイメージしにくいことを挙げる。 「実は当社では一部の部署を対象にISO9001 や ISO140001 は取得済みだったものの、今回の対象 範囲ではISO の基本的な考え方を理解していな い人がほとんどだった。またISO/IEC 20000 自 体がIT 業界向けなので要求事項に書かれている ことのイメージがつかみにくく、どう解釈してい いかわかならいという状態だった」(小久保氏)。  コンサルタントの手も借りたが基本姿勢は「自 分たちで考える」こと。「意識改革として今後も プロジェクトチームが推進し、マネジメントして いかねばならない。したがってマネジメントする 当人たちが考えてつくって動かないと意味がな い」との考え方だったのである。小久保氏はこの 考えに共感した。だが、取得までには期限もあり、 「考える」時間は限られている。

 時間をかけても現場には基本部分がなかなか腑 に落ちなかった。「キーマンが腑に落ちなければ、 その下の人たちを巻き込むのは難しい。まずキー マンを巻き込むために、構築段階のスタッフが必 要だった」と小久保氏は振り返る。同時に「ISO はツール」だとつくづく実感したという。「単に 仕組みを構築するだけではなく、そこに魂を入れ なくては、いくら優れたツールでも動かない。そ れには現場に動かす指揮者が必要」(小久保氏)。  こうして、スタッフが補強されたが、後藤氏に は、それによって現場の負担を軽減したいという 思いもあった。

< | 1 | 2 | 次のページ >

野村ビルマネジメント概要

機能性、快適性、安全性を重視したトータルビルマネジメント会社- 「ビルを、いつも価値あるものに」という企業理念の下、機能性、快適性、安全性をテーマとしたトータルビルマネジメントを展開。省エネ法が2010 年に施行される以前より、ビルマネジメントを通して環境対策に積極的に取り組んでいる。また不動産業界では珍しく「ビルメンテナンス」と「プロパティマネジメント」、「設備改修工事」、「インテリア(内装)」を1 社で行い、技術力や提案力に磨きをかけている。データセンターは約30 年の実績がある。  

設立:1977年4月1日 資本金:1 億円 代表取締役社長:井上辰夫  事業内容: ビルマネジメント事業、 建築インテリア事業、プロパティマネジメント事業、 不動産取引業

「全員でつくったからこそ、有効に機能している」と胸を張る後藤謙三氏

データセンター・横浜管理事業本部長/ ISO監理運用推進室担当

「以前よりコミュニケーションが活発 になった」と取得の成果を語る小久保俊昭氏

ISO監理運用推進室室長

ISO20000とは?

ISO20000とは、ITサービスを有効的に運用するために、英政府機関が先進企業のシステム管理の取り組みをガイドラインとしてまとめた『ITIL』を基に拡張したものです。2005年11月に国際規格ISO20000として発行されました。サービスの品質を遵守することを宣言したSLAを顧客と合意し、リスク対応を計画的に行い運用していきます。システム運用だけではなく、顧客とのサービスレベルの合意や、システムの予算管理など、他部署との関係も含めた幅広い内容を規定しています。