
地域密着型のエコツーリズムと環境保護における経歴を持つCollinsは2008年、アフリカにおける貧困と闘う製品を開発することを思い立った。「今日ここにあるブランドをもたらすために数年に及ぶ情熱、愛情、エネルギー、試行錯誤と頑張りを要しました。600,000個以上のバッグが南アフリカ国内に配布され、カーボンクレジットの第一ラウンドが登録、発行され、ルワンダやトルコにおいて生産が開始され、ケニヤ、ナイジェリア、ソマリランドで試験的に導入が開始されようとしています。そしてイギリスでは、ワンダーバッグが人道的救援活動に貢献できるように支援するための、バイワン・ギブワン・モデル(購入者が1個購入すると恵まれない人に同じものが1個無料で贈られるシステム)を採用してバッグは販売されています」とCollinsは言う。
Collinsは、南アフリカのダーバンに拠点を構え、ワンダーバッグチームはアフリカ、アジア、インド、南アメリカ、ヨーロッパそしてアメリカに至るまで、志を同じくする人々の参入のために活動している。
Collinsはワンダーバッグが女性たちを取り巻く経済状況に最も「信じられない変化」をもたらしていると述べている。 「私たちは発展途上国と先進国双方において驚異的な変化を目の当たりにしています。それは単なる貧困緩和プロジェクト(平均的な南アフリカの家庭が通常燃料費に充てている年間所得の半分を節約することを可能にする)でも、単なる開発演習(彼女たちの工場は南アフリカとルワンダに2,000人以上の雇用を作り出している)でも、実に単なるカーボン取引(各ユニットは年間0.5トンのカーボンを節約する能力を有し、カーボン市場において採取され販売される)でもありません。
規模でいえば、ワンダーバッグはそれ以上のことを行う力を持っており、おいしいシチューやCSR(企業の社会的責任)戦略よりももっと大きな触媒となることができます。私たちの協賛社はこれを理解しており、それゆえにユニリーバ、マイクロソフトやJPモルガンのような会社が、2015年までに家庭に1億個を普及させる運動の支援をしているのです」
Collins氏はワンダーバッグが営利的に運営されるビジネスであり、慈善活動ではないと言う。バッグは無料で提供されるのではない。各バッグは約30イギリスポンドで小売りされるが、一部はユニリーバとの取引のおかげで、またバッグの使用によりもたらされる温室効果ガスの削減で得られるカーボンクレジットのおかげで、その金額を支払えない人には助成により安価で提供される。
このビジネスは、気候変動に関する国際連合枠組条約にて認定された数少ない一つである。り、国連クリーン開発メカニズム(CDM)および、バッグにより生まれるカーボンクレジットを購入する企業に自らの排出分を相殺することを認めるボランタリー・ゴールド・スタンダード(the Voluntary Gold Standard)の、確証プロセスを通過している。
「このカーボン資金により我々は、 バッグを原価で販売することができます。」とCollinsは説明する。「このことにより、可能な限りの低コストで、それらを求める人たちに提供することができる」
「ワンダーバックは消費者とアフリカの家庭の双方に利益をもたらす素晴らしいアイデアです」とDNV認定の気候変動に関する南ヨーロッパ、アフリカおよび中東サービスのビジネス開発マネージャー、Grant Littleは言う。
「私自身もワンダーバッグを使用していますし、とても感動しています。人々の生活に良い影響を与える革命的な新調理法です」
「南アフリカにおいては、ワンダーバッグプロジェクトはVCS(the Verified Carbon Standard)のグループ化されたプロジェクトに分類され、ルワンダにおいては、DNVがワンダーバッグの二酸化炭素排出削減プロジェクトの活動計画(PoA)方式が有効であると認めています」とGrantは説明する。
「私たちは最近アフリカのいたるところで多くのPoAの登録を見ています。PoAメカニズムは参加者がCDM資金を政府補助金と結合させ、発展途上国政府が長期間存続する運動を発展させるために計画された。他の国々も、CDM資金を利用してその新しいメカニズムを取り入れを始めている」
「ワンダーバッグ熱保持調理器の前提は、従来の調理の間には全てのエネルギーは食材へ渡され、その多くは不十分な断熱や、対流や輻射による空気への曝露により、大気へ失われることです。 調理用コンロの上で十分に熱せられた食材はワンダーバッグに移され、そこでは熱は保持され、調理用コンロから更なるエネルギー充当することなく、食材の調理を持続することが可能となります。これにより調理コンロの熱源(例えば、木材、化石燃料、ガスや電気)を消すことが可能となり、それゆえ余計な大気への排出を削減することができるのです」
Natural Balanceは単に一家族だけではなく、全コミュニティーがワンダーバッグを持ったらどうなるかを、大胆な試算をした。薪や木炭は5-7倍長持ちし、森林再生が可能となる。ワンダーバッグからの蒸発はないので、水は長持ちする。仕事や家族の世話をする時間を女性は取り戻せる。少女は学校に戻り、薪を集める必要は滅多になくなり、家から非常に遠くへ離れることが無くなる。
「私たちはワンダーバッグのインパクトが乗数効果を持つことに気づきました。木炭へ充てていたお金がひと月の間持ちこたえ、家庭は可処分所得を得て、少女たちは学校へ戻り、学校は教室を必要とし、建設労働者は学校を拡張するために雇用され、また、教師も増え雇用され、制服や本が販売されます。」とSarah Collinsは言う。彼女は1億個のワンダーバッグが全世界で使用されるインパクトは一年間だけでも1億7千本の樹木、156兆リッターの水を節約し、同様におよそ100,000人分の新しい雇用と36億アメリカドルの可処分所得を作り出すと強調している。
Natural Balanceは今年の世界経済フォーラムに出席することのできる数少ない社会的企業の一つであり、そこにおいて、その協賛社の支援を得て、1億個のワンダーバッグの配布運動を開始することを発表する。ヨルダンの外務大臣であるNasser Sami Judeh閣下は、オランダ首相Mark Rutte氏とユニリーバのCEO Paul Polman氏と伴に社会変革を起こすために世界中のリーダー、NGOおよび法人組織間の協力の重要性を認めた。そして1億個のバッグ運動は世界で最も貧困な幾つかのコミュニティーへ社会的能力強化と機動性をもたらす実行可能なモデルであると認知された。
「私たちは単純な調理器具を提供することで数百万人の生活の質の救済や改善をする可能性を持っているが、私たちが世界を変えるのに必要な支援を得る法人からの資金援助を求めて努力しています」とSarah Collins氏は言う。
彼女は次のように締めくくる。「私たちには統制されたビジネスモデル、試験的プロジェクトと家庭におけるワンダーバッグがあります。産業界のトップ、政府、国連は連携を約束してくれています。しかし、私たちにはより実践的な行動が必要だと感じています。世界中からより多くの賛同する人々を巻き込んでこの活動を継続して行ければと思っています」