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エアバス社:乱気流への挑戦
DNVはこのプロジェクトを成功させるのに必要不可欠な存在

世界最大2階建て旅客機エアバスA380の乱気流問題  ー航空業界に新たな挑戦ー

エアバスA380からの乱気流(タービュランス)は他のどの飛行機のものよりも激しい。そのため飛行を開始するに当たり、新たな安全基準が必要とされる。

「乱気流が完全に静まったのを確認し、後方を飛行する機体に悪影響を及ぼさないようにすることが、後方乱気流の接触リスクを軽減する方法としてあげられます。」と欧州航空航法安全機構(Eurocontrol)の 航空環境長(Head of the Airport and Environmental Division)の Paul Wilson氏は述べた。

上昇する際、どの飛行機でも乱気流(タービュランス)を起こす。この乱気流の強さは機体の重量などに比例し、他の飛行機がこの乱気流圏内に入ってくると問題を起こしかねない。A380は現在ある飛行機機体よりも約40%重いため、新しい安全基準を明確にしなければならない。

いかなる基準からしても、エアバスA380の大きさは異彩を放つ。ボーイング747-400から比べると40%も機体重量が重く、よりたくさんの乗客を収容できる空間を備えてるこの機体は、大きさにおけるメリットもあるが、他の機種よりも激しい乱気流を引き起こすということも念頭に置いておかなければならない。さらに、リスクコントロールが的確に行われなければ、乱気流圏内に入った他の機体に制御不能や機体損傷などのダメージを与える可能性がある。

「もし誤って、小さな飛行機がこのエアバスA380の乱気流圏内(伴流渦)に入ったとすると、致命的に危険な加速や機体損傷などが起こりえます」

Wilson氏はヒースロー空港の管制塔で18年間統括マネージャーと、6年のスタンステッド空港での管制塔での経験がある。

乱気流が完全に静まったのを確認し、後方を飛行する機体に悪影響を及ぼさないようにすることが、後方乱気流の接触リスクを軽減する方法としてあげられる。

「制御するということは、乱気流が静まる時間を十分にとり機体間の間隔基準を設けるということです。」とWilson氏は述べた。

2003年にエアバスを含むアメリカやヨーロッパの航空機関から選ばれた人たちで構成された、後方乱気流やそのオペレーションに関する国際的なチームが発足した。その目的とは、旅客機としてサービスを始める前に、A380について間隔基準改正案に同意するためである。

Wilson氏は発足当初からこのプロジェクトに参加している。

「A380の後方乱気流による後方機との必要間隔基準の設置に加え、安全評価レポートの作成が必要でした。」とWilson氏は述べた。

客観的であること

安全評価基準を高めるには、第三者機関が新鮮な目線でもって監督し、すべての起こりうる危険事項を明確にし対処していく必要性があることをこの運営グループは指摘した。

「草分け的な功績でした。かつての成功事例はなく、複雑さゆえに当初考えていたよりもずいぶんと時間がかかりました。」とWilson氏は述べた。

後方乱気流による後方機との必要間隔基準が考案された後は、運営グループに代わって安全評価基準を制定するために協力を得る機関が必要となった。ここでDNVに白羽の矢が立ち、Dr Tim Fowler率いるロンドントランスポートチームが選ばれた。

2006年9月には、ステークホルダーによる同意が得られ、安全要求事項は完成した。2006年11月には、この安全要求事項は国際民間航空機関(ICAO)に提出された。

十分なサポート体制に助けられた

「DNVはこのプロジェクトを成功させるのに必要不可欠な存在でした。」

とWilson氏は述べた。

後方乱気流による後方機との必要間隔基準の観点から、航空業界内で後方乱気流区分(Heavy, Medium, Lightの3つの重量分けカテゴリー)を設けた。この新しい乱気流区分では、A380の後方で着陸を行う場合、それぞれ最低Light=6、 Medium=8、Heavy=10海里の間隔を置かなければならない。(現在、標準大型機の後方を着陸する場合、Light=4、Medium=5、 Heavy=6海里の間隔基準となっている)これらの数字は、今後の空港運営上の安全性や処理能力を考える上で重要な基準となる。

スーパー・ジャンボの安全基準要求

「このプロジェクトから得た成果や教訓は、この先4-5年は航空業界において多大なるインパクトを与えるでしょう。この業績により、航空運営上での著しい改善へとつながるでしょう。」

とWilson氏は締めくくった。

AIRBUS

エアバスは、ヨーロッパ(欧州連合の内の4カ国)の国際協同会社で、航空宇宙防衛企業のEADS傘下にある航空機メーカー。
旅客航空機の製造販売を主な事業内容としており、近年はアメリカのボーイング社と市場を二分する巨大航空機メーカーとして、市場競争を繰り広げている。本社はフランス・トゥルーズ。
エアバス社は部品の供給、共同開発など、各国の航空機を手がけたい企業と提携関係をもつことで、その国への利益の還元で販路を確保する戦 略を持つ。新型機の開発に当たっては日本企業への積極的なアプローチなども行われてい る。