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[座談会]

2050年カーボンニュートラル移行戦略の達成に向けて
-下-

発行体/投資家/ストラクチャリングエージェントの視点

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Introduction

2050年カーボンネットゼロ、脱炭素社会の実現に向けて、

再生可能エネルギーグリーンファイナンスだけでなく、より大きな脱炭素への貢献となるトランジションファイナンスに注目が集まっております。

今回は東京ガス様、住友生命様、みずほ証券様の3社をお招きし、発行体、投資家、ストラクチャリングエージェントの各立場から座談会形式でトランジションファイナンスへかける思いを語っていただきました。[2/2]

取材参加メンバー

(以下、文中では敬称略)

発行体
東京ガス株式会社
前口紘毅 様

経理部 ファイナンスグループ 担当課長

投資家
住友生命保険相互会社
田中淳一 様

運用企画部 責任投資推進部長

金融機関
みずほ証券株式会社
森下修 様

サステナビリティ推進部長

評価機関
DNV
金留正人 [ファシリテーター]

サステナビリティサービス部 プリンシパル

-2-

トランジションは社会性と経済性の両立が大事

みずほ証券株式会社 森下修 様

--DNV金留
金融機関として工夫された点をお聞かせいただけますか。


(森下さん)
東京ガス様のトランジションボンドは、エネルギーセクターにおける日本初の案件であり、関連する指針等で求められる必要な事項が盛り込まれることはもちろんのこと、東京ガス様の自身と社会全体をトランジションさせる戦略、その社会的な意義を投資家や様々なステークホルダーの皆様に理解いただく必要がありましたので、分かりやすく、しっかりとしたフレームワークになるようサポートさせていただきました。


--DNV金留
東京ガス様はデッドIRを通じた市場や投資家の反応について、どのように感じましたか?



(前口さん) トランジションは社会性と経済性の両立が大事だと考えており、それを実行する当社の移行戦略について、投資家様のご理解を促すとともに、2050年カーボンニュートラル実現に向けての様々な意見交換を行いました。結果として発行額以上のオーダーが得られたことから、投資家様から一定の評価を頂けたと考えておりますが、トランジションボンドを通じて引き続き投資家様の声に耳を傾け対話を継続していきたいと考えています。



--DNV金留
住友生命様は東京ガス様のデッドIRを通じて東京ガスの魅力がどこにあると感じましたか?



(田中さん)
やはり脱炭素に向けての経営方針と、Compass2030、Compass Action、トランジションボンドの発行が一貫していることと、トランジションボンド発行に見られる先駆性でしょうか。 Compass2030あるいはCompassアクションで、2030年以降のメタネーションの実装など経済性・社会性のバランスを取りながら2050年のカーボンニュートラル達成に向けたパスウェイを描いて、経営として脱炭素の決意を示されており、投資家としても、今後のトランジションの促進をサポートさせていただきたいと考えています。

なお、一つ付け加えますと、トランジション用途であっても、GHGの多排出企業への投資は、弊社ポートフォリオにおいては一時的にGHGが増えることが起こりえますが、トランジションラベルがあるとステークホルダーの皆さまに対して説得力が得られます。一方で投資側に求められる説明水準は、今後も高まるでしょうから、きちんとモニタリングしていくためにも、第三者によるレビューはこの先、さらに重要になるのではないでしょうか。



--DNV金留
今後、企業の価値は、技術的 な効率性や性能への追求から、様々な環境への貢献度合い、環境技術を軸にした物差しで比較される社会が来るでしょう。 そうなった時トランジションファイナンスによる調達資金の先行投資が企業の競争力向上につながることが期待されます。

みずほ証券様はトランジションボンドのマーケットの反応をどのように見ますか。



(森下さん)
今回の発行では投資家の皆様に理解と共感が得られたと思います。 これまでの投資判断はクレジットリスク中心でしたが、今後はさらに投資家様も環境技術を認識した上で長期計画を理解していく時代に入ります。弊社も日本全体のサステナブルなエネルギー転換をしていくには、「登らなければ行けない山」との思いで、投資家様をサポートさせていただきたいと思っております。

発行体、投資家、金融機関 それぞれの役割

--DNV金留
最後に一言ずつお願いします。





(田中さん)
東京ガス様には、トランジション計画をできるだけ前倒しで進めつつ、状況変化にも柔軟に対応して、2030年、2050年に向け、着実な計画の遂行をお願いしたいと思います。 DNV様に対しては、トランジションは長期にわたるものですから、専門的な視点で、できれば今後の推移について、定期的にチェックを実施いただければありがたいと思います。DNV様との対話からは、第三者評価機関としての企業に対する見方を知ることができ、サステナビリティ分野が広がる中、投資家と評価機関の連携の大切さを認識しました。

(前口さん)
本日の対談を通じて、弊社が日本全体のカーボンニュートラル実現に貢献し、責任あるトランジションをリードしていかなければならないということを再認識しました。トランジションボンド発行を通じては、DNV様にはグローバルの視点で、とても有益なご意見をいただくことができました。

(森下さん)
このトランジションは長期にわたり環境の変化に対し継続的なメンテナンスが必要です。そのためにはご発行体様、投資家様、評価機関様、金融機関が夫々の役割で、責任あるトランジションをチームプレイで支え合っていくことが大事と改めて実感しました。



--DNV金留
それでは今後それぞれの持ち場で活躍いただき、引き続き皆様とともにチームプレイを実行していきましょう。 本日は長時間にわたり有難うございました。

DNVサステナビリティサービス

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[DNVサイト] 東京ガス株式会社:トランジション・ファイナンス・フレームワーク セカンドオピニオン(2022/02/10)

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