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サプライチェーンマネジメントで価値を生み出す
世界500社の食品企業がどのようにリスクを想定し、対策をとっているか

DNV GLビジネス・アシュアランスが飲食業界の顧客を対象に実施した最近の調査によると、多くの企業がサプライチェーンの運用に関して、劇的に効果を上げる方法を見出せていないことが分かった。企業と消費者間ですべての流通を最適化しようとすれば、多くのリスク領域での取引や、委託と投資にかかわる要求に応じなくてはならず、その管理には膨大な手間がかかるからだ。それでなくても品質と安全性は何よりも重要視されなければならない。

欧州における最近の馬肉偽装事件は、サプライチェーンマネジメントの重要性と潜在的なリスクを浮き彫りにしたと言える。飲食業界の従事者は、このような事件が今後も続くのではないかと懸念している。飲食業界のサプライチェーンはますますグローバルかつ複雑に発達してきており、メーカーや小売業者が、サプライチェーンの上流と下流双方について管理を行い、その管理が十分でない場合、責任を問われる傾向が強まっている。では、このような難題をどう克服すべきか?

国際的な研究機関であるGFK EuriskoおよびDNV GLビジネスアシュアランスが実施した最近の調査では、ヨーロッパ、北米、南米、アジアの500社がどのようにリスクを想定し、その対策を取っているかについて焦点をあてた。

食品の安全性と品質が最優先

回答者のうち75%は、完成品の工程に主として直接関与していた製造会社の所属であった。これはそれらの企業が大規模で、地理的に広範なサプライチェーンの上に成り立っていることを意味するものである。回答者の約70%が直接、品質と安全管理に関与する職についていた。さらに回答者の約10%が上級の意思決定者(CEO、COOまたは取締役)であった。もちろん、品質と安全性は彼らにとって最重要課題とされていた。

「回答総数のうち63%が、主なリスク領域として食品の安全性を選び、食品の品質に関しての回答は総数の54%を占めます。この結果は、あらゆる潜在的な不履行の影響を考慮すると妥当なものだと思われます」とDNV GLビジネスアシュアランス フード&ビバレッジセクター グローバル ディレクターStefano Creaは分析している。

さらに、ヨーロッパでは施行後久しいEuropean Food Act、および米国で今改正されつつあるFood Safety Modernization Actなどでは、食品の安全性に関する責任を食品メーカーに対して課す内容の規定がだんだんと強化されている。これらの法律ではメーカーが上流と下流双方のサプライチェーン内のすべての物流を管理するよう定めているのだ。Creaは、「このように、我々の顧客のほとんどは、この分野での改善について長年にわたって取り組んでいます。安全性は中核をなすものであり、いくつかの事件の発生後、安全性とは集団的な脅威、もしくはリスクをはらむものと見られるようになりました。飲食業界において、食品の安全性は競争原理が働くべき問題ではないし、我々は、産業界や消費者の利益のためにむしろ共同で努力すべき課題です」と述べた。

さらに驚くべきことは、金銭的リスクという回答をしたのは、総数のわずか38%に過ぎないという事実だ。これは、現在の経済情勢がさほどはっきりとした影響を与えていないということになり、やや予想外である。しかし、ここ数年での危険地域における回答では、金銭的リスクは50%と2位に上昇し、食の品質を上回る。したがって、特に北米では、将来にわたっての不安が少なからずあるように思われる。

環境問題も、あまり多くの回答を占めなかった。環境保護は29%と、比較的リスクの高い問題とはみなされなかったようである。「繰り返しになるが、我々は今後数年間で環境問題への対策の重要性が増すことを認識しなければなりません。『業界として、まったく環境問題に取り組んでいない』という意味ではないことを主張すべきではあるが、それよりも大事な課題が他にあるということでしょう」と、Creaは見解を述べている。 「しかし、消費者の需要が増大する一方で、世界の資源利用に対しては制約が増え、その総量が急速に減少しています。環境保護問題は、今後もさらに重要な課題になりつつあるという認識が必要でしょう。例えば、ウォーターフットプリントなどは、消費者の関心としても、ビジネス上の議題としても、今後重要になっていく概念の1つになっていく」

強い影響力を持つ顧客

この調査では、顧客こそが、企業がサプライチェーンをマネジメントするために一番の影響力を持つ者であることを示している。危険の防止とその緩和を確実にするために、企業の内部方針の明確化と競争原理を考えないことが挙げられるであろう。消費者の意見を重視した内部方針は、環境保護に強い影響力をもたらすものだ。

Creaは、「これらの緩和措置を実施するための理由は、企業が顧客との関係や販売の面で、環境保護活動の恩恵を受けることがあるとみられるから」と言う。 「企業は品質向上や競争力の優位性、ブランド力の向上などに注力している。62%の回答者は費用が活動の妨げになるとしているが、3人に1人はその活動からの利益が費用を上回ると主張しています」



唯一の解決策など存在しない

食の安全性と品質が業界内の重要な課題として認識され続ける一方で、食品および飲料のサプライチェーンは、非常に複雑で多様な世界であり、すべてのリスクを低減できるような唯一の解決策など存在しない。ほとんどの回答者は、自社製品で15以上の食材を使用していると答えている。

Creaは、「15種類というと、たいして多くは聞こえないかもしれないが、供給元は百社程度か、それ以上になる可能性があります。大企業になると生産ラインも大規模になるため、組み合わせによっては、原料の数が250品目程度にのぼる。供給元が数百どころか数千社にもなりうる」と言う。 「このように、サプライチェーンマネジメントの有効性のみならず効率性も、持続可能な発展のための基本です」

調査に参加した企業の回答から分かることは、リスクを軽減するための唯一の方法などないということと、個別の活動を統合したものの上に企業が成り立っているということである。この個別の活動とは、リスクをはらむ領域に本拠を置く供給元を除外することに始まり、規制基準の認定や危機管理計画、リスク移転が可能な供給元に対する監査や評価によるアセスメント、多様化およびその開発などに至る活動のことである。調査回答者の80%以上が、これらすべての緩和措置を駆使していた。

一度に改善可能な特効薬というものは存在しない。中小企業では、危険地域からの調達を避けるため、供給元の多様化を推進しているようである。一方、大企業は、リスクアセスメント活動、共同生産連携や、認証制度、有事に備えた対策などを通して、供給元に積極的に関与している様子が伺える。

この違いは、企業規模および、リソースがどのくらい使えるかということに関係している。大企業は、長期的にわたる安定的かつ持続可能な取り組みとして、体系的で積極的な運用を図ろうとしているものとみられる。

Creaは、「予防的発想に基づき、評価と認証、有事に備えた対策などが最も効果的である、とこの調査は示しています。食品の安全と品質に関連する問題を扱う上ではそれは顕著です」と結論づけた。

DNV GLビジネスアシュアランス・カスタマーパネル

本調査、「サプライチェーンマネジメントで価値を生み出す方法」はDNV GLビジネスアシュアランス・カスタマーパネルにより実施されたものである。これは、持続可能な企業活動に関連するホットな話題に独自の見解を提供することを目的とした、企業を顧客とする定期的かつ自主的なコミュニティである。 DNV GLビジネスアシュアランスの最高経営責任者(CEO)Luca Crisciottiは、「我々には世界中に80,000社の会員がおり、会員より結集された経験と知識により独自の見解を表明しています。我々は他の人々に価値ある意見を提供する目的で、DNV GLビジネスアシュアランス・カスタマーパネルを通じ、世界に一石を投じています。世界経済、環境、社会的ニーズのバランスを取りながらさらに企業価値を高めていくことこそ、未来の発展的企業に必要なものであり、我々は弊社サービスを通して、知識の共有することでこの理念を真摯に支援したい」とこのカスタマーパネルの意義、活動について述べている。