企業インタビュー
環境先進企業として「お湯」から地球環境保全に取り組む 株式会社ノーリツ vol.2
地球温暖化の問題が迫ってきているいま、私たちはこの問題にどう向き合うべきか。未来に向かって私たちにできること、企業として果たすべき責任や役割は何か。本シリーズでは「低炭素化社会」に向けた企業の取り組みをレポートしているが、今回は温水や浴室関連機器のトップメーカー・ノーリツの環境活動をレポートする。
環境対策は人材育成から
3つ目の環境戦略は人材育成である。これは社内でeco検定(東京商工会議所が実施)合格者を増やしていこうという目標を掲げ、2012年までに営業本部に所属する社員全員(約1,300名)がeco検定合格を目指している。今年も多くの受験者が12月の検定に向け学習中である。
教育活動により、桐野江氏は「個人の環境意識が向上しました。環境へと一つのベクトルが合って、年齢やキャリア・性別に関係なく同一目標に向かって取り組むことができるようになりました。さらに、お得意さまに対しても環境への取り組みがノーリツのアピールの一つとなり、外部からの取材も増え、イメージアップにつながったと思います」という。
また、販売促進ツールとして花の種をつけたり、ショールーム内に緑の募金ボックスを設置するほか、環境を題材とした絵本を設置。来店した子供に環境を意識してもらうように促している。
内部監査の報告書に良い事例を紹介
認証書を手に、亘氏と桐野江氏
さらに、ISOの内部監査での成果では、業務改善、5Sが進んだり、運用ルールが統一されたという点を亘氏はあげている。「法令遵守についても、当たり前のように行っていたけれど、実際にはどんな法律かわからない部分もあったようですが、EMSでていねいに抽出した結果、理由を知ってきちんとするという意識が向上しました」(桐野江氏)。
現在、同社では内部監査員の養成にも力を入れており、営業部で約77名。全国の拠点に必ず一名の内部監査員を配置している。
内部監査でも事業所独自のよい取り組みを吸い上げてそれを社内全体に広めることを目指している。社員全員が情報共有して行こうという取り組みを行っており横展開が可能になった。例えば、大阪支店での営業用自動車の運用見直しである。業務改善のために、自動車の台数の見直しを行い、これまでの一人一台の支給をやめ、地下鉄やバスなど便利の良い場所は公共交通機関を利用して排気ガス削減を目指した。自動車が必要な場合は予約制とし、前もって届け出ることで、営業活動の業務改善とコスト削減の両方に役立った。
京都のショールームはマネージャーが、女性ならではの視点で工夫を凝らしている点が他の営業所の参考になった。システムバスの断熱浴槽の断面をカットして、断熱効果を目で見て理解できるようにしたり、高効率の給湯器の仕組みを中が見えるような透明パネルにして展示。商品だけでなくカタログもこれまでのように「ご自由にどうぞ」ではなく、閲覧用を展示場に置き、持ち帰る人は窓口に声をかけてもらって渡す方法にしたところ、必要な人が必要な分だけカタログを持ち帰るようになったという。
名古屋では商品展示会の横で子供向けのリユースクラフトイベントを実施。さまざまな品をリユースして子供向けのオモチャを作っている。特に名古屋は車を利用する人が多いため、ショールームまで地下鉄を利用した人には粗品を配布することで、社会全体のCO2削減を目指した取り組みも行っている。
今後の取り組み
こうした社内の活動だけでなく、関連会社や取引先に対しては、納品書を通常の紙からウエブ配信に変更することにより、作業の簡便性と紙のムダが省ける点を訴えており、浸透してきた。常にCO2削減を念頭に置いて、今後も活動を続けていく考えである。
活動はやり始め当時から比べると毎年レベルアップしてきているが、それを義務としてではなくチャンスと捉らえて、いかに経営にビルドインしていくかを考えていきたいと亘氏は言う。「PDCAを回わすというISOの考え方は根付いてきましたが、最初、PDは強いがCAが弱いと指摘されたことがあります。審査員が、『これまで私は数百社の審査をやってきましたが、初めて審査に来て良かった点を特質すべき事項として書いたのは初めてですよ』と言われて大変嬉しかったですね。自分の姿を客観的に見ることは難しいので、外部の方からの指摘はとても参考になります。これからもISOを使った環境活動で、社会貢献する企業を目指します」としている。

業務品質を向上させる独自な取り組み
DNVビジネス アシュアランスジャパン 株式会社
鳥井 秀章 監査員
ISO14001の独自性ある取り組みで環境配慮製品の拡大、コスト削減、モチベーションアップ
マニュアルやその他環境関連資料をもらった段階で、独自性がある素晴らしい環境の取り組みを実施している会社だと思いました。更にカタログで「お風呂は人を幸せにする」という言葉に触れ、ますます親近感が沸いて監査にも一層力が入るのを感じました。
ノーリツさんのISO14001の活動は、単に環境への配慮ということを超え、従業員のモチベーションアップ、環境配慮商品の拡大及び究極までのコスト追求を通じたCO2の削減を目指しており、更には活動そのものの効率化を通して業務品質を上げるための取り組みにも踏み込もうとしています。これらはISO14001活動にマンネリを感じている会社にはぜひとも参考にしていただきたい事例でもあります。
ISO14001を活用した一石ニ鳥の取り組み
低酸素社会と社内環境への貢献の2つのサイクルが見事にマッチング
社員のモチベーションアップを中心として、環境配慮商品の拡大及び経営コスト見直しの活動等を強化することを通して、下図に示すように「低炭素化社会への貢献」及び「社内環境への貢献」と、二つのサイクルを見事に両立させています。
昨今は、良い製品やサービスを単に提供するだけでは済まない時代となっており、こうした二つのサイクルの定着は、従業員のモチベーションや危機意識をますます研ぎ澄ますことでもあり、環境やその他社会的なリスクへ果敢に挑戦していくような会社の体制を結果的に整えているとも言えます。
プロ集団の協力により企業リスクの低減が是非とも必要
これからの時代は、各企業とも環境に限らず多種多様なリスクに対峙しなければならない時代だと思います。企業やその他多くのプロ集団が協力して知恵と技を出し合わないと、こうした状況を乗り切ることはむずかしくなっています。私たちも規格のプロ集団として、多様なリスクの低減に貢献できればと考えています。

